肩こりと頭痛・めまい・吐き気が一緒に出るときに知っておきたいこと
「肩こりがひどくなると、後頭部の頭痛やふわっとしためまい、気持ち悪さまでセットで出てくる…」
整体院で施術をしていると、そんな相談を受けることが少なくありません。検査では「異常なし」と言われても、日常生活がしんどくなるレベルのつらさが続くと不安になりますよね。
ここでは、脳神経外科・整形外科クリニックでの経験も踏まえながら、「肩こり・頭痛・めまい・吐き気」がどうつながりやすいのか、そして日常生活や整体でどんなアプローチができるのかを、できるだけやさしく整理していきます。少しでも「そういう仕組みだったのか」とホッとしてもらえたら嬉しいです。
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目次
1. 放っておきがちな「肩こり+頭痛+めまい」という相談
肩こりや首こり自体は、多くの方が「昔からあるし、体質みたいなものかな」と流してしまいがちです。
ところが、
- 後頭部が重く締めつけられるような頭痛
- ふわっとしたふらつきや、グラグラするようなめまい
- 長時間座っていると吐き気まで出てくる
こうした症状がセットになると、「本当に大丈夫なのかな…」と不安が一気に強くなります。
実際に、整体りびるどに来られる30〜70代の方からも、
- 「肩こりから頭痛が来る気がするけど、どこまで様子を見ていいのかわからない」
- 「首こりとめまいが同時に出て、脳の病気じゃないかと心配になって検査したけど、異常なしと言われた」
という声をよく聞きます。
ここで大事なのは、「すぐに命に関わる頭痛・めまい」と、「筋肉・姿勢・自律神経のバランスからくる頭痛・めまい」をざっくり分けて考えてみることです。
このあと、
- 肩こりと頭痛・めまいがどうつながりやすいか
- 自分でチェックしておきたいポイント
- 日常生活と整体でできること
を順番に整理していきます。
2. 肩こりと頭痛・めまいの関係を、ざっくり整理してみる
緊張型頭痛という「一番よくある頭痛」
病院の検査では特に異常がなく、圧迫されるような頭痛が繰り返し起きる場合、「緊張型頭痛」と呼ばれるタイプに当てはまることが多いです。
日本頭痛学会などの解説では、緊張型頭痛は一次性頭痛(脳に明らかな病気がないタイプ)の中で最も頻度が高く、世界全体での有病率は約38%とされています。日本頭痛学会+1
特徴としては、
- 両側性で、こめかみ〜後頭部あたりが締め付けられるように痛い
- 「ズキズキ」という拍動性より、「重い・じわっと痛い」感じ
- 肩こり・首こりを伴うことが多い
といったものが挙げられます。
首こりとめまいの「頸性めまい」という考え方
一方で、「首の痛みやこり」と「ふわっとしためまい」がセットで出る方もいます。
最近のレビュー論文では、頸部の痛みを持つ人の約半数が、非回転性(グルグル回るというより、ふわっと不安定な感じ)のめまいを経験している、という報告もあります。MDPI+1
このようなものは「頸性めまい(頸性めまい・cervicogenic dizziness)」と呼ばれ、
- 首を動かしたとき
- 同じ姿勢でじっとしていて首肩がガチガチになってきたとき
にふわふわする・身体が揺れる感じが出るのが特徴です。
肩こり・頭痛・吐き気は「守りのサイン」
頭が痛いとき、めまいがするとき、気持ち悪さまで出るとき。
つらいと感じやすいですが、からだ側から見ると「これ以上無理をすると危ないよ」という守りのサインでもあります。
- 筋肉のこわばり → 血流の低下 → 痛み物質が溜まりやすい
- 交感神経が優位になり続ける → 胃腸の動き低下・吐き気・動悸感
- 首の筋肉からの情報が乱れる → 目や耳とのバランスが崩れ、ふわふわしためまい
ざっくり言うと、こんな流れで「肩こり 頭痛 めまい」が一つのセットになりやすい、とイメージしてもらえると良いかもしれません。
ただし「すぐ病院レベル」のサインもある
ここまで読んで、「じゃあ全部肩こりから来ているんだな」と決めつけるのは危険です。
頭痛の診療ガイドラインなどでは、次のような場合は早めの受診や救急受診を勧めています。日本頭痛学会+1
- 「人生最悪レベル」と感じる突然の激しい頭痛
- 発熱・激しい首のこわばり・ろれつが回らない・手足の麻痺などを伴う頭痛
- 頭を強くぶつけたあとからの頭痛・意識のぼんやり
- がん治療中や免疫が落ちている状態での新しい頭痛
こういったケースは、整体より先に医療機関での評価が最優先です。
3. 筋肉・関節・自律神経がどうつながって「肩こり頭痛セット」になるのか
ここからは、からだの中で何が起こっているかを、できるだけイメージしやすいようにお話ししていきます。
① 首〜肩の筋肉が「固まる」ときの流れ
デスクワークやスマホ時間が長くなると、頭が前に出た姿勢になりやすくなります。
すると、
- 後頭部から首の後ろにかけての筋肉(後頭下筋群・僧帽筋上部など)
- 肩甲骨まわりの筋肉
が常に引っ張られた状態になり、じわじわと筋肉のこわばりが強くなります。
日本や海外の研究でも、頭痛持ちの人では首・肩の痛みの頻度が高いことが報告されていますし、首・肩の筋肉の圧痛(押すと痛い)が頭痛の特徴の一つとして挙げられています。PMC+2日本頭痛学会+2
筋肉が固まると、その周辺を通る血管も圧迫されやすくなり、酸素や栄養が届きにくい状態になります。
その結果、いわゆる「老廃物」や痛み物質が溜まりやすくなり、重たい頭痛やこり感として感じられてきます。
② 「首のセンサー」とめまい・ふらつき
首には、姿勢を感じ取るセンサー(固有受容器)がたくさん集まっています。
頭の向きや位置を、耳の平衡感覚(内耳)・目からの情報と照らし合わせて、「自分はいまどの向きで立っているか」を脳が判断しているイメージです。
首の筋肉の緊張が強くなりすぎると、この「首からの情報」が乱れやすくなり、
- ストンと立っているのに、少し揺れているような感覚
- あまり回していないのに、首を動かすとふわっとする
といった頸性めまいにつながると考えられています。
慢性的な首の痛みを持つ人の3〜5割で、こうしたタイプのめまいが見られるという報告もあります。MDPI+1
③ 自律神経が揺さぶられて「吐き気」まで
痛みやこわばり、めまいが続くと、それ自体が大きなストレスになります。
ストレスや不安が続くと、交感神経が優位な状態が長引き、
- 胃腸の動きが落ちる
- 末梢の血管が収縮し、手足が冷えやすくなる
- 呼吸が浅くなり、息苦しさや胸のつかえ感が出る
といった変化が重なり、「吐き気」「動悸」「胸のムカムカ」といった自律神経症状が顔を出しやすくなります。
私自身も、忙しい時期に姿勢が崩れた状態で仕事を続けてしまうと、首こりからくる軽い頭痛と、なんとも言えないモヤモヤ感をセットで感じることがあります。
からだは、本当に正直です。
④ 「動かさなすぎ」と「頑張りすぎ」の両方が燃料になる
ここまでの流れを一言でまとめると、
動かさなすぎ(同じ姿勢が続く)+ 頑張りすぎ(ストレス・緊張)
= 筋肉のこわばり + 自律神経の乱れ
= 肩こり+頭痛+めまい+吐き気
という式になりやすい、ということです。
一方で、首・肩の筋肉をターゲットにした運動やストレッチのプログラムを職場で行ったところ、頭痛や首肩の痛みが有意に減った、という研究もあります。サイエンスダイレクト+2PubMed+2
「ちゃんと動かしてあげること」が、痛みや不調の改善につながる可能性がある、と示してくれている結果です。
4. よくある生活パターンとからだへの負担、それをどう整えていくか
ここからは、日常生活の中で「肩こり 頭痛 めまい」が起こりやすいパターンと、整体りびるどで私がどんな順番で見ていくかをお話しします。
デスクワーク・スマホ時間が長い方の典型パターン
松本市周辺でも、在宅ワークやデスクワーク中心の方が増えました。
こうした生活スタイルの方で多いのが、
- ノートPCをのぞき込む姿勢が続く
- 肩甲骨が外側に開き、頭が前方に出た姿勢がクセになる
- 首の付け根〜後頭部の筋肉がガチガチ
- 夕方になると後頭部が重く、こめかみが締め付けられる
- ひどい日は吐き気やふわふわしためまいもセット
という流れです。
さらに、仕事の締切や人間関係のストレスが重なると、交感神経モードが長く続き、眠りが浅くなりがち。
寝ても回復しづらいので、朝から首こり・頭痛が残ったまま一日が始まる、という悪循環にはまりやすくなります。
整体りびるどでの見立て・整え方の一例
整体りびるどでは、こうした方に対して、
- 首だけでなく、肩甲骨・胸郭の動きから確認する
- 肩甲骨が固まっていると、首だけ緩めてもすぐ戻ってしまうため
- 後頭部〜上部頸椎の動きと、目線の使い方をチェックする
- 眼精疲労が強いと、首の後ろの筋肉が常に引っ張られていることが多い
- 呼吸の深さと、みぞおち周りの緊張を評価する
- 浅い呼吸は、自律神経のバランス不良とセットになりやすい
- 痛みを我慢している部分だけでなく、「感じにくくなっている部分」にもアプローチ
- 感覚がぼやけているところをクリアにしていくイメージ
というように、「痛いところピンポイント」ではなく、「首肩まわりを取り巻く環境」を一緒に整えていくことを大事にしています。
少しだけ統計の話をすると…
職場の運動プログラムや健康教育を組み合わせた取り組みで、首・肩の痛みや頭痛が減った、という報告がいくつかあります。PLOS+1
完璧な姿勢や毎日1時間の筋トレではなく、「短時間でも首肩を動かす」「自分のクセに気づく」といった小さな変化が、頭痛やめまいの減少につながる可能性がある、ということです。
整体は、その「小さな変化」を起こしやすくするきっかけづくり。
セルフケアでは届きにくい部分をサポートしつつ、「からだの戻りやすい道」を一緒に探していく作業だと私は考えています。
Q&A:肩こりと頭痛・めまい・吐き気について、よくある質問
Q1. どんな頭痛・めまいなら、すぐ病院で診てもらったほうがいいですか?
先ほど少し触れましたが、
- 突然の「人生最悪レベル」の激しい頭痛
- ろれつが回らない・片側の手足が動きにくい・視野が欠けるなど、神経症状を伴う頭痛
- 高熱や強い首のこわばりを伴う頭痛
- 頭を強く打ったあとから続く頭痛や、意識がぼんやりする
といったケースは、整体ではなく救急受診レベルです。
また、「今まで経験したことがないタイプの頭痛」「徐々に悪化していく頭痛」が続く場合も、早めに脳神経外科や神経内科、頭痛外来などでの評価をおすすめします。
Q2. 肩こり頭痛で、整体と病院はどう使い分ければいいですか?
目安としては、
- まず一度は病院で検査を受けておきたいケース
- 初めての頭痛が強く出た
- 頭痛・めまい・吐き気が何日も強く続いている
- 基礎疾患(高血圧・糖尿病・不整脈など)があり、いつもと違う症状が出た
- 検査で「特に大きな異常はない」と言われたあとに、整体が力になりやすいケース
- 肩こりや首こりが常にあり、その延長で頭痛・めまいが出ている
- デスクワークや姿勢のクセがはっきりしている
- 触ると、首肩まわりの筋肉が明らかにガチガチ
というイメージです。
整体は「原因を探る検査の代わり」ではなく、大きな病気が否定されたあとに、からだの使い方やバランスを整えていく場所と考えてもらえるといいかなと思います。
Q3. どれくらいの頻度で通うと、変化を実感しやすいですか?
これは状態によってかなり違いますが、
- 症状が強い時期:
→ 1〜2週間に1度のペースで、からだの「戻り癖」が落ち着くまでサポート - 症状が落ち着いてきたら:
→ 3〜4週間に1度、メンテナンスとセルフケアの確認
といった形をとることが多いです。
もちろん、「何回通えば絶対よくなる」とは言えませんが、3〜4回前後で「頭痛の回数が減ってきた」「めまいの不安が少し減った」と感じ始める方が多い印象です。
通うペースは、生活スタイルやご予算も含めて、一緒に相談しながら決めていければと思っています。
5. 今日からできる小さなケアと、必要に応じて頼ってほしいこと
最後に、「全部やる」のではなく、「これならできそう」というものをいくつか挙げてみます。
| 行動のヒント | イメージ |
|---|---|
| 1時間に1回、首肩の「小さな体操」 | 椅子に座ったまま、肩を前後に回す・首をゆっくり横に倒すなどを30秒だけ。筋肉のこわばりと血流低下のリセット。 |
| 画面の高さと椅子の位置を見直す | ノートPCの下に台を置き、目線を少し上げる。背もたれにもたれて座り、頭が前に出すぎない位置を探す。 |
| 深呼吸タイムを1日のどこかに挟む | 寝る前や休憩時間に、5回だけゆっくり鼻から吸って口から吐く。みぞおちがふわっと動くイメージで。 |
全部を完璧にしようとすると、それ自体がストレスになってしまいます。
「デスクワークの合間に肩を回すだけ」「寝る前の深呼吸だけ」といった、小さな一歩からで十分です。
肩こりと頭痛・めまい・吐き気が続くと、「また来たらどうしよう」という不安で、外出や仕事そのものが怖くなることもあります。
そんなときは、一人で抱え込まなくて大丈夫です。
セルフケアで届きにくい部分は、整体や理学療法士などのからだの専門家と一緒に整えていくのも一つの方法。
また、「これは肩こりだけの問題なのかな?」と不安が強いときや長引く場合は、お近くの医療機関や、信頼できる整体・リハビリの専門職に、どうぞ遠慮なく相談してみてください。
松本市岡田の整体りびるどでも、肩こり・頭痛・めまいの不安を抱えた方の「からだの地図」を一緒に整理しながら、少しずつラクになっていくお手伝いができればと思っています。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。







