寝返りが減ったのは歳のせい?──同じ姿勢で朝を迎える人の「朝の腰痛」との関係

朝ベッドの上で腰に手を当て、少しつらそうな表情で体を起こそうとしている40代男性のイラスト。寝返りが少なく同じ姿勢で寝ていたことによる朝の腰痛をイメージした画像。

どうも。
整体りびるどのテラサワです。

「若いころは、起きたら頭と足が逆になっていたこともよくあったのに…。
最近は、寝たときとほとんど同じ姿勢で朝を迎えることが増えた気がする」

あなたはそんな変化、感じていませんか?

実はこれ、私自身がここ数年とても強く感じていることでもあります。
20代のころは、布団の中でぐるぐると動き回っていたはずが、40代に入った今では「寝相が良くなった」というよりも、夜のあいだあまり動いていない感覚のほうが強くなってきました。

一見すると「落ち着いてよく眠れている」ようにも思えますが、
裏側では 寝返りの回数が減っている 可能性があります。

そしてこの「寝返りの減少」は、
朝の腰痛やこわばり とも深く関係していることが分かっています。

今回の記事では、

  • なぜ寝返りは必要なのか
  • 年齢とともに寝返りが減る理由
  • 「寝返りが少ない人」に起こりやすい朝の腰痛のメカニズム
  • 今日からできる、寝返り&朝腰痛対策

を、理学療法士としての経験も交えながら、やさしく丁寧に解説していきます。

「この腰の重だるさ、ずっと付き合っていくしかないのかな…」
そんな不安が、少しでも軽くなるきっかけになれば嬉しいです。

目次

深掘りQ&A

【Q】最近、寝返りが減ってきた気がします。
寝た姿勢のまま朝を迎えることも多いのですが、これは歳のせいですか?
朝起きたときの腰痛とも関係ありますか?

【A】結論から言うと、「歳とともに寝返りが減る」のはよくある変化です。そして、同じ姿勢のまま朝を迎えることは、朝の腰痛やこわばりとかなり関係があります。

ただし、それは「もう手遅れ」という意味ではなく、

・寝返りが減る
・関節や筋肉が固まりやすくなる
・朝いちばんに腰がつらい

という流れを理解して、
寝る前と起床時のひと工夫で十分ケアできる部分も大きい ということでもあります。

ここから、すこし深く掘り下げていきましょう。


そもそも「寝返り」は何のためにあるのか?

寝返りは“夜のメンテナンス動作”

寝返りは、ただの「無意識な動き」ではなく、身体にとって大切なメンテナンス動作です。

主な役割は、おおまかに次の3つ。

① 同じ姿勢で固まらないようにする

長時間、同じ姿勢でいると、

  • 椎間関節や靭帯
  • 関節包
  • 筋膜や皮膚

といった組織が 伸ばされっぱなし/縮みっぱなし になり、
血流が落ちて、軽い炎症やこわばりが起こりやすくなります。

寝返りは、こうした状態を こまめにリセットする“リフレッシュ動作” と考えられています。

② 血流・体液の循環を入れ替える

同じ場所(腰・お尻・肩・踵など)に圧がかかり続けると、局所的な血流やリンパの流れが滞ります。
姿勢を変えることで、

  • 圧がかかっていた場所を解放
  • 別の面で支えてバランスを取り直す

といった 体液の入れ替え作業 が行われています。

③ 体温調節・自律神経の微調整

睡眠中は体温や睡眠の深さに応じて、
自律神経(交感神経・副交感神経)のバランスも細かく調整されています。

寝返りや姿勢の変化は、
「眠りの深さ」「身体の冷え/ほてり」を微調整する役割 も担っていると言われています。


年齢とともに寝返りが減るのは「ごく自然な変化」

① 研究でも「寝返りの回数は加齢とともに減る」と報告

睡眠中の姿勢変化を調べた研究では、
体位変換(寝返り)の回数は、年齢とともに少しずつ減っていく ことが示されています。

  • ある研究では、子どもから高齢者まで5つの年齢群を比較した結果、
    睡眠中の体位変換は 若年層で1時間あたり約4回、高齢層では約2回程度 に減少していたと報告されています。OUP Academic
  • 別の研究でも、夜間の体動は若年者に比べ高齢者で有意に少ないことが示されており、
    「寝ているあいだの動き」は加齢とともに減る傾向 があるとされています。サイエンスダイレクト+1

つまり、

「若いころは、起きたら頭と足が逆」
「今は、寝たときと同じ姿勢で起床」

という変化は、統計的にも“あるある”な変化 と言えます。

② なぜ歳を重ねると寝返りが減るのか?

要因はいくつか考えられます。

・関節・筋肉の柔軟性低下

寝返りは、

  • 胸椎・腰椎のひねり
  • 股関節・肩関節の回旋
  • 体幹のねじり

など、意外と複雑な “全身運動” です。

40代以降は、

  • 胸椎の回旋が出にくい
  • 股関節のひねりが固い
  • 体幹のねじりがしづらい

という方が増えていきます。

「動かないから固くなる」と同時に
「固いから動かしたくない」というループで、
寝返りそのものが面倒な動きになってしまう ことがあります。

・痛みや違和感の「予防回避」

身体は無意識に、

「そこまでひねると、ちょっと痛いんだよな…」

という情報を学習していきます。

その結果、

  • ひねる
  • 伸ばす
  • 反らす

といった方向への寝返りを “あえて避ける” ようになることがあります。

・神経系の「省エネモード」

加齢に伴い睡眠パターンそのものも変化します。
睡眠と加齢に関する教育資料でも、
年齢とともに睡眠時間やパターンが変わり、
睡眠をとれる“時間の幅”が狭くなることが報告されています。sleep.hms.harvard.edu

脳が「とにかく今はエネルギーを温存したい」と判断すると、
姿勢を変えて全身を動かして調整するより、“じっとしていたい”ほうを選びやすくなる ことも考えられます。

・寝具や環境の影響

  • 柔らかすぎる/硬すぎるマットレス
  • 高すぎる or 低すぎる枕
  • 重くて動かしづらい掛布団

なども、寝返りを物理的に妨げる要因になります。


寝返りが少ないと、なぜ「朝の腰痛」が起きやすいのか?

朝の腰痛にはさまざまな原因が絡みますが、
「長時間、同じ姿勢で寝ていること」 が大きく影響していることは、多くの専門機関でも指摘されています。Sleep Foundation+2Medical News Today+2

ここでは、構造・感覚・神経の3つの視点で整理してみます。

① 構造:同じ姿勢での“持続的ストレス”

仰向け・横向き・うつ伏せ…
どの姿勢にも 「楽な人」「つらくなりやすい人」 がいます。

たとえば、

  • 仰向けで腰が反りやすい人
    → 椎間関節や腰部の靭帯に負担がかかり続ける
  • 横向きで丸まりすぎる人
    → 椎体前方の圧縮+後方組織の伸ばされストレス
  • うつ伏せ寝が多い人
    → 腰椎の反り+首のねじれで、脊柱全体に負荷The Times of India+1

これらが 数時間単位で続く と、

起きた瞬間がいちばんつらい
動き出してしばらくすると楽になる

といった「朝限定腰痛」パターンになりやすくなります。

② 感覚:筋・筋膜の“脱水+癒着モード”

睡眠中は活動量が少ないため、
筋肉や筋膜は 軽い“脱水状態” に傾きやすくなります。

そこに 同じ姿勢での圧迫が長時間続く と、

  • 筋線維どうし
  • 筋膜どうし

がペタッと貼り付いたような状態になり、
起きて動き出すときに

「最初の一歩だけ、やたら腰が重い」
「起き抜けに伸びをすると、腰がピキッとする」

といった違和感として現れます。

③ 神経:脳と身体の“寝起きのズレ”

寝ている間、脳は 「今はあまり動かないモード」 にあります。

長時間、同じ姿勢でいたあとに急に起き上がると、

  • 関節や筋肉からの情報(固まっている・伸びづらい)
  • 脳が予測している「いつもの動き方」

この2つの間に “ズレ” が生じます。

そのズレを「危険かも」と感じると、
脳は防御反応として 痛み・こわばり・動きのぎこちなさ を出してブレーキをかけます。

「朝だけ腰が痛いけど、動いていると楽になる」

という場合、この
「寝起きの脳と身体のズレ」 が関わっているケースも多い印象です。


今日からできる「寝返り&朝の腰痛」セルフケア

ここからは、
ご自宅でできる対策をいくつかご紹介します。

① 寝る前の“ひねりリセット”で準備運動

目的:寝返りをしやすいだけの“余裕”を作る

  • ベッドの上で仰向けになり、片膝を立てて反対側へ倒す
  • 肩はできるだけベッドにつけたまま
  • 左右ゆっくり10回ずつ、伸ばすというより“揺らす”イメージで

ポイントは、「伸ばし切るストレッチ」ではなく、「小さな動きで滑りを良くする」 こと。
胸椎・骨盤まわりの回旋が少しでも出やすくなると、
自然な寝返りの助けになります。

② 寝具を“ちょい足し”で調整する

いきなりマットレスや枕を総入れ替えする必要はありません。
まずは次のような「ちょい足し」で様子を見てみてください。

  • 仰向けが多い人:
    → 膝の下にクッションや丸めたタオルを入れ、
    腰の反りすぎを軽減する(腰椎の負担を減らす)
  • 横向きが多い人:
    → 膝と膝の間にクッションを挟み、
    骨盤のねじれを防ぐ

こうした工夫は、
整形外科や睡眠関連の情報でも 「腰への負担を減らす寝方」として推奨 されています。Mayo Clinic+1

③ 起きる前の“1分ほぐしタイム”

朝いきなり「ガバッ」と起きるより、
ベッドの中で1分だけ“起動準備” をしてあげると腰がかなり楽になります。

おすすめはこの3ステップ:

  1. 仰向けで両膝を立て、左右にコロコロ10〜20回
  2. 片膝ずつ、胸のほうに軽く引き寄せて5〜10秒キープ
  3. 体を横向きにしてから、腕で支えながらゆっくり起き上がる

「ゆっくりスイッチを入れてあげる」イメージで行うと、
脳と身体の“ギャップ”が小さくなり、朝の腰のツラさが和らぎやすくなります。

④ 日中の“ちょこっと動き”も、意外と効く

研究では、軽い運動や日中の活動量そのものが、睡眠の質を高める ことも報告されています。Nature

  • こまめな立ち上がり
  • 1〜2分の背伸びや歩行
  • 座りっぱなしを避ける工夫

こうした小さな積み重ねが、
「夜に固まりにくい身体」「寝返りしやすい身体」 を作る土台になります。


整体りびるどでは「寝返り・朝の腰痛」をどう見るか?

整体りびるどでは、
「寝返りが減った」「朝だけ腰が痛い」といったお悩みを、
構造・感覚・神経 の3つのレイヤーで捉えています。

① 構造:胸椎・骨盤・股関節の“ひねりやすさ”を整える

  • 胸椎(胸の高さの背骨)の回旋
  • 骨盤帯・股関節まわりの滑り
  • 腰椎の反り・丸まりのバランス

をチェックし、「寝返りに必要な動き」が出やすい状態 をつくっていきます。

② 感覚:床・シーツ・体幹の“位置感覚”を取り戻す

  • 皮膚へのやさしい刺激
  • 骨へのタッチ
  • 呼吸に合わせた体幹の動き

などを通じて、
「今、自分の身体がどこにあるか」 を感じやすい状態を作ります。

感覚が整ってくると、
脳が 「これくらい動いても大丈夫」 と判断しやすくなるため、
寝返りもスムーズに出てきやすくなります。

③ 神経:安心感の中で“動きのクセ”を書き換える

  • 「痛くならない範囲」での動きの練習
  • ていねいな呼吸と合わせたロール動作(なんちゃって寝返り練習)

などを通じて、
「動いても大丈夫」という経験を、脳にもう一度インストールしていく イメージです。

施術ベッドの上での体験が、
ご自宅での寝返りや起き上がりにも自然と反映されていくことを目指しています。


まとめ──「寝返りが減った」は“黄色信号”くらいの感覚で

最後にポイントを整理します。

  • 寝返りは、
    関節・筋肉・体液・自律神経を整える“夜のメンテ動作”
  • 研究でも、
    睡眠中の体位変換は年齢とともに減る ことが示されている
  • 「同じ姿勢のまま朝を迎える」ことが増えると、
    • 同じ組織にストレスがかかり続ける
    • 筋・筋膜が脱水+張り付きモードになりやすい
      朝の腰痛やこわばりにつながりやすい
  • とはいえ、「もう手遅れ」という話ではなく、
    • 寝る前のひねりリセット
    • 寝具のちょい足し調整
    • 朝いちの“1分ほぐしタイム”
    • 日中のちょこっと運動
      などで、十分ケアしていける部分も多い

「昔みたいにぐるぐる寝返りを打ちたい」
というよりも、
「今の身体で無理なく動ける余裕を取り戻す」 ことが大切です。

身体は、年齢にかかわらずちゃんと変化してくれます。
少しずつ、“戻る力”を思い出させてあげましょう。


よくある質問(FAQ)

Q1. 寝返りが少ないほうが、眠りが深いって聞いたことがあります。本当ですか?

A. 一概には言えません。
確かに、寝返りが多すぎると睡眠が浅くなる場合もありますが、
逆に まったく動かないほどじっとしている=眠りの質が良い とも言い切れません。

大切なのは、

  • 朝スッキリ起きられているか
  • 日中の眠気やだるさが少ないか
  • 身体のコリや痛みが残っていないか

といった 「トータルの状態」 です。

朝の腰痛やこわばりが気になる場合は、
寝返りの少なさが一つのヒントになるかもしれません。


Q2. 寝返りの“理想回数”ってありますか?

A. 明確な「◯回が正解」という数字はありません。

研究では、年齢や体型によってもバラつきがあり、
「◯回以下だと病気」という明確なラインは示されていません。Dove Medical Press+1

目安としては、

  • 朝の痛みや強いコリがない
  • 日中も特に不調がない

のであれば、現状の寝返り回数を過度に気にする必要はありません。


Q3. 朝だけ腰が痛いのですが、病院に行くべきタイミングは?

A. 次のような場合は、一度整形外科などの受診をおすすめします。

  • 痛みが数週間以上続く
  • 痛みで夜中に目が覚める
  • 足のしびれ・力の入りにくさを伴う
  • 発熱や体重減少など、他の症状もある

「寝具や姿勢を工夫しても良くならない」「不安が強い」ときは、
まず医療機関で原因を確認したうえで、整体などを併用していくと安心です。

おわりに

「寝返りが減ってきた」「朝だけ腰がつらい」。
こういう変化って、ある日いきなりドンと来るというより、
気づけば少しずつ積み重なって今に至っていることが多いです。

大事なのは、
それを「歳だから仕方ない」とあきらめてしまうか、
「今の自分の身体に合った整え方にアップデートしてみよう」と捉え直せるかどうか、だと感じています。

寝返りの回数が減るのも、朝の腰のこわばりも、
身体からの「ちょっと状態を見直してみて」という小さなサインです。
決して、あなたの身体がダメになった証拠ではありません。

この記事でご紹介したような、
寝る前・起きる前のちょっとしたひと手間でも、
続けていくことで少しずつ「朝のラクさ」は変わっていきます。

それでも不安が強かったり、
セルフケアだけではなかなか変化を感じにくいときは、
ひとりで抱え込まずにご相談ください。

「どうせ歳だから…」ではなく、
「今の自分の身体に合った整え方を一緒に探していく」。
整体りびるどでは、そんなスタンスでお手伝いしていきたいと思っています。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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