冬になると膝痛が悪化…「冷え」?それとも関節の使い方?
冬の朝、起きて一歩目で「うっ…膝が痛い」。しゃがんで靴下を履こうとすると股関節まわりがつっぱって、「最近、前みたいに曲がらないな…」と不安になる。
そんな経験はありませんか?
多くの方が「寒いから仕方ない」「冷え性だから」と、膝痛や股関節痛を“冷え”だけのせいにしがちです。ネットで調べても「温めましょう」「サポーターをしましょう」といった情報が中心で、本当に知りたい「なぜ、冬になると膝が痛いのか」「冷えと関節の使い方はどう関係するのか」は意外と語られていません。
この記事では、「膝痛 冬 冷え」「股関節 痛い 靴下 履けない」「膝 痛い 冷える」といったお悩みをテーマに、冷えで起きる変化+関節の位置・使い方・筋膜ライン・運動連鎖まで含めて、じっくり深堀りしていきます。
目次
Q. 冬になると膝痛が悪化します。これは「冷え」のせいでしょうか?それとも関節の使い方に問題がありますか?
A.
一言でいうと、「冷えだけではなく、関節の位置・使い方のクセが冬に“表面化している」状態と考えるとよいです。
寒さで血流が落ちると痛みは出やすくなりますが、その土台に「膝や股関節のねじれ」「股関節が曲がりにくくて靴下が履けない」といった問題があると、冬に一気に症状が強く出やすくなります。
多くは、関節の位置・使い方・感覚をていねいに整えていくことで、少しずつ“戻っていく”タイプの不調です。この記事で詳しく解説していきます。
「膝痛 冬 冷え」の現象の整理と、よくある誤解
冬になると「関節が痛い」「朝こわばる」と訴える方は非常に多く、変形性関節症(膝・股関節など)を対象にした研究でも、気温の低下や気圧の変化と痛みが関連する可能性が報告されています。PMC+1
また、レビュー論文でも「寒くて湿った天候で関節痛・こわばりが悪化しやすい」という傾向が指摘されています。リサーチゲート
さらに、冷たい環境では**末梢の血管がギュッと縮んで血流が落ちる(血管収縮)**ことが知られています。手足の末梢では、冷えにさらされると交感神経の働きで血流が急激に低下することが実験で確認されています。PMC+1
この「血流が落ちる → 痛みを感じやすくなる」という流れは、動物モデルの関節炎研究でも示されています。BioMed Central+1
こうした背景から、
- 冬は関節の中の潤滑液が固くなりやすい
- 血流が落ちることで、筋肉や靭帯も冷えて伸びにくくなる
- 痛みの神経が敏感になりやすい
といった条件が重なり、**「膝 痛い 冷えると余計につらい」**という状態が起こりやすくなります。medicalnewstoday.com+1
よくある誤解
- 誤解①:「冬の膝痛=冷え性だから仕方ない」
→ 実際には、膝関節や股関節の位置・動かし方の癖がベースにある上で、冷えが“増幅装置”になっていることが多いです。 - 誤解②:「筋力が落ちたから痛いだけ」
→ 筋力も大切ですが、研究では階段昇段やしゃがみ動作のしづらさなど、関節の動きそのものの問題が膝OA(変形性膝関節症)と強く関係することが示されています。リサーチゲート - 誤解③:「股関節が痛いのは年齢だから、靴下が履けなくなるのも当然」
→ 股関節OAの患者さんでは、「靴下や靴を履きにくい」「爪切りがしづらい」といった股関節の曲げ+ねじり動作の制限が、代表的な症状として挙げられています。GOV.UK+1
つまり、「冷え」はたしかに影響しますが、本質的には「関節の位置・動き・感覚」が整っていない問題が先にあり、冬の冷えがそれをあぶり出していると考えたほうが、対策も取りやすくなります。
原因の深堀り(構造 × 神経 × 感覚)
① 構造(関節・筋肉・ファシア)
まずは「構造」の話から。
- 膝関節:
本来、曲げ伸ばしがメインの関節ですが、わずかに“ひねり”も伴う繊細な構造をしています。太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)の位置関係が崩れると、曲げ伸ばしのたびに関節の内側・外側に負担が偏りやすくなります。 - 股関節:
体重を支えるボール&ソケット型の関節で、「曲げる・伸ばす・開く・閉じる・ねじる」ができる多方向関節です。ここが硬くなると、「しゃがむ」「靴下を履く」「階段の1段目を上がる」などの動きで代償が出やすくなります。実際、股関節OAの評価項目には「靴下を履くのが難しいかどうか」が含まれているガイドラインもあります。日本理学療法士協会+1 - 筋膜・ファシア:
太ももの前(大腿四頭筋)から膝、すねへと続くラインや、お尻〜外もも〜膝の外側へ続く**筋膜ライン(ファシアのつながり)**は、姿勢・歩き方・しゃがみ方のクセを強く反映します。ここが“ねじれたまま固まる”と、冬の冷えで血流が落ちたときに、一気に痛みとして自覚されやすくなります。
つまり、日常の感覚でいうと…
- 「しゃがむとき、股関節より先に膝から曲がってしまう」
- 「靴下を履くときに、太もものつけ根というより膝のあたりがつっぱる」
- 「階段の1段目で、膝から上がろうとしてしまう」
こうした動き方は、**“股関節がサボって、膝が頑張りすぎている状態”**とも言えます。
そこに冷えが重なることで、「膝痛 冬 冷え」のコンビネーションが完成してしまうわけです。
② 自律神経・呼吸・脳の防御反応
次に、「神経と自律神経」の視点です。
冷えると私たちの体は、体温を守るために血管をキュッと細くして、熱が逃げないようにする反応を起こします。これは交感神経が優位になったときの代表的な反応で、末梢の血流が低下し、筋肉や関節まわりも冷えやすくなります。Nature+1
さらに、関節炎モデルの研究などでは、**寒冷環境への暴露が痛みの感度を上げる(少しの刺激でも痛く感じる)**ことも報告されています。BioMed Central+1
ここに、「脳の防御システム」という視点を足してみます。
- 過去に膝を痛めた経験がある
- レントゲンで「軟骨がすり減っている」と言われている
- 「また痛くなるのでは」という不安をいつも抱えている
こうした情報が積み重なると、脳は「ここは危ない場所だ」と判断して、痛みというサインを早めに出しやすくなります。これは「ペインニューロマトリックス」や「セントラル・センシタイゼーション(中枢感作)」と呼ばれるメカニズムで、慢性痛の患者さんでよく見られる現象です。PubMed+2ohsu.edu+2
わかりやすく言うと…
冷えで血流が落ちる → 関節や筋肉が固くなる
+ 過去の経験や不安で、脳の“警戒モード”が強くなる
= 実際のダメージ以上に痛みを感じやすくなる
という「トリプルコンボ」が起きている、というイメージです。
この“警戒モード”を和らげるには、
- 体を温めること
- 呼吸を整えて自律神経のバランスを整えること
- 「なぜ痛いのか」を理解して、脳の不安を少しずつほどいていくこと
この3つをセットで考えていくことが大切になります。
③ 意識・心理・安心感の影響
「また膝が痛くなるのでは…」
「しゃがんだら立てなくなるかも…」
そう思えば思うほど、私たちの体は無意識に力みやすくなり、関節を固めてしまいます。
- いつも少し膝を曲げて、体重を前側にかけてしまう
- 歩幅を極端に小さくして、膝をほとんど動かさなくなる
- 股関節を使うのが怖くて、腰や膝だけでかばう
これは「サボっている」のではなく、からだなりの防御反応です。
逆に言えば、
- 「ここまでなら大丈夫」という体験を少しずつ積むこと
- 信頼できる人に見てもらいながら、「安心して動かせる範囲」を広げていくこと
で、筋肉や関節のこわばりはゆるみやすくなります。
安心感が高まると、自律神経のバランスも整いやすくなることが、痛み教育(ペインニューロサイエンス・エデュケーション)の研究でも示されています。archives-pmr.org+1
「心の持ちようでしょ?」という意味ではなく、
“からだの危険センサーの感度”が、意識・感情にも影響を受けているという理解が近いです。
臨床で見えてきたこと(理学療法士としての視点)
整形外科やリハビリの現場で、冬場に膝痛・股関節痛を訴える方をたくさん診てきましたが、共通している“使い方のパターン”があります。
よくある「使い方のクセ」
- しゃがむときに股関節より膝が先に曲がる
- 立ち上がるときに太ももの前だけで頑張ってしまう
- 足裏の重心がいつもつま先寄り or 外側寄り
- 階段の1段目で、膝から突っ込むように上がる
- 股関節が硬く、「股関節 痛い 靴下 履けない」と感じる
こうしたパターンの方は、冬になるとほぼ例外なく、
- 朝一歩目の膝の痛み
- 靴下を履くときの股関節のつっぱり
- 階段を上がるときの膝のズキッとした痛み
が強くなりがちです。
整体りびるどの施術の軸
整体りびるどでは、こうしたお悩みに対して
- 構造:股関節・骨盤・膝・足部のアライメント(位置関係)、関節の“すべり”と“転がり”、筋膜のねじれ
- 感覚:足裏の接地感、股関節まわりの「動いている感じ」、皮膚のやわらかさ、ボディマップ(自分のからだの地図)
- 神経:自律神経のバランス、脳の警戒モード、呼吸との連動
この3つの軸から、**「股関節・骨盤・足部から“戻していく”**ことを大事にしています。
たとえば、
- 足裏の感覚を整えて、「どこに体重が乗っているか」を脳に再インプットする
- 股関節をやさしく誘導しながら、「膝に頼りすぎないしゃがみ方」をからだに思い出してもらう
- 呼吸と合わせて、膝まわりの防御的な筋緊張をゆるめていく
といったステップを踏むことで、冬の冷えで強く出ていた膝痛・股関節痛が、少しずつ“落ち着く場所”を見つけていくイメージに近いです。
セルフチェック:「こんな動きがしづらい人は要注意」
次の動きで、違和感や痛み・つっぱりを感じる方は、膝だけでなく股関節・骨盤・足部の見直しポイントが隠れている可能性があります。
- 椅子に座った状態で、膝を抱えるように胸に近づけられない
- 片脚立ちで、10秒キープが不安定
- 片脚立ちのまま、軽く膝を曲げ伸ばしすると膝が不安
- 座って靴下を履くとき、太もものつけ根ではなく膝のあたりが苦しい
- 階段を1段ずつ上がるとき、膝の内側 or 外側が毎回気になる
ひとつでも当てはまる方は、「冷え対策+関節の使い方のアップデート」が今後のポイントになってきます。
日常でできる小さな実践(セルフケア)
ここからは、40〜70代の方でも無理なくできるセルフケアをいくつかご紹介します。
全てを完璧にやる必要はありません。「今日はこれだけ」の日があってもOKです。
1)朝いちばんの「股関節ゆらし」ウォーミングアップ
- 目的
- 冷えて固まりやすい股関節と膝周りを、やさしく動かしてから一日をスタートするためのケア。
- やり方
- 椅子に浅く腰掛け、足を肩幅に開く。
- 膝の上に手を置き、股関節から太もも全体を前後にゆらすイメージで、体重を前後に小さく移動させる。
- 余裕があれば、左右にも小さくゆらしてみる。
- 呼吸は止めずに、楽なペースで10〜20回。
- 注意点
- 痛みが強い日は、「前に行きすぎない」「ゆれ幅を小さくする」ことを優先。
- ズキッとした鋭い痛みが出る場合は中止し、様子を見ましょう。
2)「股関節からしゃがむ」ミニ練習
- 目的
- 膝ではなく股関節から曲がる感覚を思い出して、「しゃがむ・前かがみ」のクセを整える。
- やり方
- キッチン台や机に手を置き、足を肩幅に開いて立つ。
- お尻を後ろに引くようにしながら、「股関節のつけ根に折りたたみ線が入る」イメージで前かがみになる。
- 膝は軽く曲がる程度でOK。膝がつま先より前に出すぎないように。
- ゆっくり元に戻る。10回を目安に。
- 注意点
- 膝に痛みが出る場合は、曲げる角度を浅くしてOK。
- 腰が丸まりすぎると、腰痛を誘発しやすいので、背中は軽く伸ばす意識を持ちましょう。
3)「靴下を履く姿勢」を整える工夫
- 目的
- 「股関節 痛い 靴下 履けない」というシーンの負担を減らす。
- やり方
- 少し高めの椅子やベッドに座る(股関節・膝が直角〜少し高めになる高さ)。
- 片方の足を、小さな台や踏み台の上に乗せる。
- 背中を丸めすぎず、股関節から上体を軽く倒しながら靴下を履く。
- 片側ずつ、無理のない範囲で。
- 注意点
- 屈むときに股関節〜太ももの付け根に鋭い痛みが走る場合は無理をせず、道具(靴下の補助具)や家族の手を借りることも選択肢に入れましょう。
- 痛みが日増しに強くなる場合は、整形外科での評価がおすすめです。
4)ふくらはぎポンプ+足首まわしで血流アップ
- 目的
- 冷えで落ちやすい足〜膝まわりの血流を促して、「膝 痛い 冷える」と感じる時間を減らす。
- やり方
- 椅子に座り、かかとを床につけたまま、つま先を上下にパタパタ動かす。
- 30〜40回行ったら、今度はつま先を床につけたまま、かかとを上下に上げ下げする。
- 最後に、片脚ずつ足首をゆっくり円を描くように10回ずつ回す。
- 注意点
- むくみが強い方・心臓や血管の病気で医師の指示がある方は、主治医の先生に確認しながら行いましょう。
- ふくらはぎにズキンとした痛みや、急な腫れ・熱感が出る場合は、自己判断で続けず受診を。
5)「深呼吸+膝なで」で防御モードをオフにする
- 目的
- 自律神経を整え、膝まわりの防御的なこわばりをゆるめる。
- やり方
- 椅子に座った状態で、片膝の上に両手をそっと置く。
- 鼻から4秒で息を吸い、口から6秒でふーっと吐く。
- 吐くときに、膝〜太ももをやさしく撫でる。
- 5〜10呼吸ほど繰り返す。
- 注意点
- 吸う時間より吐く時間を長くするのがポイント(副交感神経が働きやすくなります)。
- 過呼吸ぎみにならないよう、がんばって大量に吸おうとしないこと。
まとめ|「膝痛 冬 冷え」と、整える・感じるという視点
最後に、この記事のポイントを整理します。
- 冬になると膝痛・股関節痛が悪化する背景には、冷えによる血流低下・関節内の環境変化・痛み神経の敏感化が関わっています。medicalnewstoday.com+1
- ただし、本質的には「関節の位置・使い方」「筋膜ライン・運動連鎖」の問題が土台にあり、「膝 痛い 冷える」と感じるのは、その結果が冬に表面化している状態と考えられます。
- 「股関節 痛い 靴下 履けない」「しゃがむ・階段の1段目がつらい」といったサインは、膝だけでなく股関節や骨盤・足部も一緒に整える必要があるサインでもあります。リサーチゲート+1
- 痛みは「組織の損傷」だけでなく、脳の警戒モード(防御反応)と自律神経のバランスの影響も強く受けます。必要以上に自分を責めるのではなく、「からだの守り方が少し過敏になっている」と理解してあげることが大事です。PubMed+1
- 身体は本来、“戻る力”を持っています。冷え対策だけでなく、関節の位置・動き・感覚を少しずつ整え直していくことで、冬の膝痛・股関節痛との付き合い方は変えていけます。
「整える」というのは、
形だけをきれいに揃えることではなく、
自分のからだをもう一度“感じ直す”こと。
今日ご紹介したセルフケアや視点が、
冬の膝痛・股関節痛との付き合い方を見直す小さなヒントになれば嬉しいです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 冬になると膝痛が強くなります。これは「膝痛 冬 冷え」が重なっているだけで、放っておいても大丈夫ですか?
A. 一時的な冷えが原因で痛みが増しているだけなら、温める・軽く動かすことで落ち着くこともあります。ただ、「毎年悪化している」「階段やしゃがみ動作がどんどんつらくなる」場合は、膝の構造や股関節・足部の使い方に問題が隠れていることが多いです。早い段階で専門家に相談しておくと、将来の負担を減らしやすくなります。
Q2. 股関節が痛くて靴下が履けないとき、無理にストレッチしてもいいですか?
A. 「股関節 痛い 靴下 履けない」状態で、強いストレッチを自己流で続けるのはおすすめしません。股関節OAなど、関節の変化が背景にある場合もあり、力任せのストレッチがかえって痛みを増やすこともあるからです。まずは負担の少ない姿勢(高めの椅子・足台の使用など)に工夫しつつ、必要に応じて整形外科での評価や、専門職のチェックを受けることをおすすめします。
Q3. 膝が冷えると痛いので、サポーターとカイロだけに頼ってもいいですか?
A. サポーターやカイロで**「冷やさない・守る」ことは大切な一歩**ですが、それだけだと「関節の位置・使い方」「筋膜ライン・運動連鎖」は変わりません。
「膝 痛い 冷えるから動かさない」状態が続くと、かえって筋力や関節の動きが落ちてしまうこともあります。温めつつ、無理のない範囲で股関節や足部も含めて少しずつ動きを取り戻していくことが、長い目で見ると再発予防につながります。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
お身体のお悩み等ありましたら、お気軽に整体りびるどにご相談ください。







