Q.寝違えたとき、動かしたほうがいい?安静がいい?【深堀りQ&A】
朝、首に痛みが走り「寝違えた…」と感じた経験は、誰にでもあると思います。
ひどいときには、顔を左右に向けるどころか、少し動くだけでズキッと痛むこともありますよね。
このとき多くの方が迷うのが、
「動かしたほうがいいのか、安静にすべきなのか?」
という問題です。
一般論としてはどちらの意見もありますが、理学療法士として臨床で数多くみてきた結論は、
“その人の状態によって正解が変わる” ということです。
今日は、寝違えのメカニズムと、りびるど式の正しい判断基準をわかりやすくお伝えします。
目次
1. 寝違えは筋肉の問題ではない?──本当の原因
多くの人が「首の筋肉を変な姿勢で寝たから」と思っていますが、実はそれだけでは説明がつきません。
◆ 本当の原因は“急な刺激に弱い状態”になっているから
寝違えは、首そのものの問題ではなく、
・肩甲帯まわりの緊張
・胸椎(背中)の硬さ
・横隔膜の固まり
・自律神経の乱れ
・日々の疲れで感覚が鈍くなっている
こうした下地が積み重なり、
ちょっとした寝返りやフッとした頭の動きに身体がついていけず、反射的な過緊張が起きる
──これが寝違えの正体です。
つまり“首が弱い”のではなく、
準備が整っていない身体が、予期できない動きに驚いてしまった状態。
これを知っているだけでも、怖さが少し和らぎます。
2. 動かすべき?安静がいい?──答えは“痛みの質”で決まる
ここが一番悩むポイント。
でも実は、とてもシンプルな判断基準があります。
◆ ①「刺すような痛み」「電気が走る痛み」がある → 無理に動かさない
これは、防御反応が強く出ているサイン。
組織自体にも負担がかかっている可能性があり、まずは刺激を減らす方が安全です。
◆ ②「重だるい」「動かすと少し痛い」がメイン → ゆっくり“探る動き”はOK
この場合、
痛くない方向・軽く動かせる範囲 を使って、
脳に「ここまでは安全だよ」という情報を届けた方が回復が早いことが多いです。
※いきなり大きく動かすのは逆効果なので注意。
◆ ③ 朝より午後のほうが少し動かしやすい → 感覚系のリセットが効いてきている証拠
このタイプの寝違えは、動かせる範囲で動かしてあげる方が早く治ります。
ポイントは、
“痛みの強さ”ではなく“痛みの質”で判断すること。
3. りびるど的に見ると──寝違えは「ズレている場所」が人によって違う
寝違えの患者さんを数多くみて分かるのは、
痛みの場所は首でも、原因は首にないことがほとんど ということです。
たとえば…
◆ ①胸椎(とくにT4〜T7)が固まり、首だけが動かされていた
首が単独で頑張るしかなくなり、過緊張が発生。
◆ ②肩甲骨まわりの感覚が鈍く、頭を支える負担が首に集中
デスクワーク・スマホ姿勢などでよく起こるタイプ。
◆ ③横隔膜が硬く、呼吸のたびに首まわりが引っ張られている
呼吸と首の筋肉は深く連動しているため、このタイプも非常に多い。
◆ ④自律神経の乱れによる“守りの緊張”
疲れていると、人間の身体はまず「首まわりを固めて守ろうとする」傾向があります。
だから、首を揉んでも取れない人が多いわけです。
“どこがズレているのか”を体全体で見ないと、根本的に改善しません。
4. 自分でできる応急ケア──「首を直接触らない」が鉄則
痛い場所をグイグイ押したくなる気持ちはわかりますが、寝違え初期は逆効果です。
代わりに、以下の部分をやさしくケアするのが効果的です。
◆ ① わきの下(大円筋・小円筋付近)をゆっくり呼吸しながら押す
首の負担を肩甲帯に分散させる働きがあります。
◆ ② 背中(肩甲骨の内側)にカイロを貼る
首よりも背中を温めるほうが効果的。
◆ ③ ゆっくり“真ん中の軸”を探す動き
・首を1~2cmだけ横に傾ける
・左右で痛くない側を優先
・動かせる範囲の“気持ちよさ”を探す
脳に「ここまでは安全」と伝わり、防御反応がほどけていきます。
◆ ④ 深い呼吸(特に吐く息を長めに)
横隔膜がほぐれ、首まわりの緊張がスッと下がります。
5. まとめ──寝違えのポイントは“どこがズレたか”を見ること
寝違えはただの首のトラブルではなく、
身体のどこかが“想定外の動きについていけなかった”ことによる防御反応です。
だからこそ、
・痛みの質を見極める
・首だけに囚われない
・体全体の流れを整える
これが回復の早道です。
無理に動かす必要も、ずっと安静にする必要もありません。
「いまの身体にとって安全な範囲」を見つけてあげること。
それが、寝違え回復のいちばんの近道です。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
お身体のお悩み等ありましたら、お気軽に整体りびるどにご相談ください。







