Q.朝起きると腰が痛い…寝方が悪いせい?【深堀りQ&A】

朝起きると腰が痛い…寝方が悪いせい?

A.寝方そのものよりも、「寝ている間に身体がどう支えられているか」がポイントです。

寝姿勢が原因ではなく、日中の姿勢や呼吸、寝返りのしやすさといった“感覚の使い方”が関係しています。


🔍寝起きの腰痛=「寝方」より「支え方」

「仰向けが悪いのかな?」「横向きがいいのかな?」
といった寝方の議論はよくありますが、実際は**姿勢の形よりも“支え方の質”**が重要です。

腰は本来、“動く”関節ではなく“つなぐ”関節。
寝ている間に支えが崩れると、骨盤や胸郭の微妙な傾きを腰が代償して支えようとし、朝起きたときに“張り”や“こわばり”として現れます。

特に、マットレスや枕の高さが合わず、
夜間に「どこで体を支えるか」が不安定になると、
寝返りのたびに腰部の筋膜や関節包が引きつり、炎症まではいかなくても“防御反応”が生じます。


💡寝返りが“うまく打てない”人が増えている

実は、寝返りは無意識に姿勢をリセットする大切な動作です。
人は一晩で平均20〜30回寝返りを打ちますが、
胸郭が硬かったり、肩甲骨や股関節の動きが悪いと、
身体がうまく回らずに「腰だけでねじる」ような動きになります。

その結果、腰部の筋肉(特に多裂筋や腰方形筋)が夜間も緊張し続け、
朝になって“動かしづらさ”として残るのです。

2021年の研究(Lee et al., Journal of Physical Therapy Science)でも、
寝返りの回数が少ない人ほど朝の腰痛が強い傾向が報告されています。


🧩“朝だけ痛い”のはなぜ?

朝の痛みは、日中の負担の“リセット不足”とも言えます。
日中に同じ姿勢を続け、筋膜が軽く癒着した状態で眠ると、
夜の回復がうまく進まず、朝に「動き始めの痛み」として出るのです。

つまり、寝方よりも「どんな状態で眠りについたか」が重要。

・寝る前にスマホを見ながら猫背で長時間過ごす
・浅い呼吸でリラックスできず、身体が緊張したまま寝る
・仰向けで腰が浮いているのに、そのまま寝てしまう

これらの積み重ねが、“朝だけ腰が痛い”をつくります。


💡寝起きの腰痛を軽くする3つのポイント

① 寝る前に「背中と骨盤の感覚」を整える

仰向けで寝る前に、膝を立てて骨盤を左右にゆっくり倒す。
背中の接地感や、床との距離を感じながら呼吸をすると、
“支える面”が自然と広がっていきます。

② 起き上がるときは“ひねって”ではなく“転がって”

朝の起き上がりで「腹筋でグッと起きる」人が多いですが、
これは腰に大きな負担をかけます。
まず横向きになってから腕で支え、“転がるように”起き上がるのが理想です。

③ 寝具を“姿勢で”選ぶ

柔らかすぎるマットレスでは沈み込みすぎて支えが不安定。
反対に硬すぎると接地面が少なく、圧が集中します。
「背中と骨盤が均等に支えられている感覚」が最も重要です。


🧠まとめ

朝の腰痛は、「寝方」ではなく「支え方」と「寝返りの質」の問題。
日中の姿勢や呼吸のクセが夜にも影響し、
“身体が休めないまま朝を迎える”ことで痛みが出ています。

焦らず、寝る前に背中の感覚を取り戻し、
“支え直せる身体”をつくっていきましょう。

身体は、眠っている間にも整える力を持っています。

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