朝が一番つらい肩こりに~枕」と「寝姿勢」をもう一度見直してみる~
夜はそこまで気にならないのに、朝起きた瞬間から首や肩がガチガチ。枕を買い替えてみても、「これだ!」という感覚がなくて、また別の枕探しの旅に出る…。
どうも。
整体りびるどのテラサワです。
りびるどにも、そんなお悩みで松本市周辺から足を運んでくださる方が少なくありません。
今回は、理学療法士・整体師の目線から「肩こりと睡眠の質」「枕・寝具・寝姿勢」の関係を、できるだけわかりやすく整理してみます。難しく考えすぎず、「ここだけ変えてみようかな」と感じるポイントを、一つでも持ち帰ってもらえたらうれしいです。
目次
1. 朝起きたときの「首・肩の重さ」が気になっていませんか
整体りびるどに来られる方から、こんな声をよく聞きます。
- 朝が一番つらくて、起きてからしばらく動くと少しラク
- 枕を何個も試したけれど、いまいちしっくりこない
- 仰向けで寝ると首の後ろがスカスカ、横向きだと肩がつぶれる感じがする
特に30〜70代の方は、日中も忙しく、夜の数時間が唯一の「からだの修理時間」になりやすい世代です。本当なら、その時間に筋肉や関節はゆるみ、血流も整って、朝はスッキリ起きたいところ。
ところが、枕や寝姿勢が首・肩に合っていないと、「休めているつもりで、実は負担をかけ続けている」状態になり、朝の肩こり・首こり・頭の重さとして現れてきます。
このあとお話しするのは、「この枕が正解です!」という単純な話ではありません。
・首や肩の構造
・寝姿勢のクセ
・からだ全体の緊張状態
こういった要素が重なって、朝のつらさが生まれていることを、少しずつ紐解いていきます。
2. 「枕が合っていないから肩こり」…だけでは語り切れない理由
「肩こりがつらい → 枕が悪いに違いない」と考えがちですが、実際のからだの中では、もう少し複雑なことが起きています。
「合わない枕」が引き起こす典型的なパターン
- 高すぎる枕
首が軽く前に曲がった状態が続きます。首の後ろ側の筋肉が伸ばされ続け、前側は詰まりやすくなり、朝の首の痛みや頭の重さにつながりやすくなります。 - 低すぎる・へたった枕
首のカーブ(生理的前弯)を支えきれず、首まわりの筋肉が自力で頭を支え続ける状態に。寝ているのに、首だけずっと「頑張りっぱなし」になります。 - 横向き寝で肩がつぶれるパターン
横向きで寝る人が、仰向け用の低い枕を使うと、首が側屈した状態が続き、肩の上の筋肉や関節に偏った圧がかかります。
実際、肩の痛みと寝姿勢の関係を調べた研究では、片側だけ肩が痛い人の多くが「痛い側を下にして横向きで寝ていた」という報告があります。PubMed+1
また、別の研究でも、寝方によって肩の病変や肩痛のリスクが変わる可能性が示されており、「どんな姿勢で長時間じっとしているか」が肩の負担に大きく関わると考えられています。ResearchGate
「枕だけ」ではなく「睡眠の長さ」も肩こりに影響する
肩こりや腰痛などの慢性的な痛みと、睡眠時間の関係を調べた報告では、短すぎる睡眠・長すぎる睡眠のどちらも筋骨格系の痛みと関連することが示されています。PMC+1
アメリカの睡眠医学会(AASM)の専門家会議では、成人は「健康のためには1日7時間以上の睡眠が望ましい」と提言しており、睡眠時間が少ないほど、痛みや生活習慣病のリスクが高まりやすいとの報告もあります。jcsm.aasm.org
つまり、
- 枕・寝具・寝姿勢
- 睡眠時間や眠りの深さ
この両方が、肩こり・首こりの「背景」にあるということです。
3. 首・肩・背骨・自律神経。寝ているあいだに何が起きている?
ここから少しだけ、からだの中のしくみの話をします。難しそうに感じたら、イメージだけでも掴んでいただければ大丈夫です。
3-1. 首のカーブと枕の役割
首の骨(頚椎)は、前にゆるやかなカーブを描いています。
このカーブを、枕が「ちょうどよく支える」ことで、
- 頭の重さ(ボーリングの球くらいの重さとよく言われます)が分散される
- 首の筋肉や靭帯の負担が減る
- 椎間板の圧力が均等に近づき、夜のあいだに水分を吸って回復しやすくなる
といった働きが期待できます。
枕のタイプと首の痛み・睡眠の質を比較した研究では、首のカーブを支える形の枕の方が、痛みや睡眠の質が改善しやすかったという報告があります。J-STAGE+2e-arm.org+2
もちろん「この形なら全員OK」というわけではありませんが、理学療法士目線で見ても、「首のカーブを埋めてあげる」という考え方は、とても大事なポイントです。
3-2. 寝姿勢と肩への圧力
肩の関節は、からだの中でも自由度が高い分、不安定でもあります。
横向きで長時間眠ると、体重が肩の小さな関節や筋肉に集中しやすく、特に
- 肩の外側の痛み
- 上腕のだるさ
- 夜中・明け方の疼くような痛み
として現れることがあります。
肩の病変と寝姿勢を調べた研究では、「同じ側を下にして寝続ける人ほど、肩の腱や関節にトラブルを抱えている割合が高い」という結果が報告されています。PubMed+1
ただし、「横向き寝 = 悪」と言い切れるわけではありません。
大切なのは、
- 肩とマットレスのあいだにクッションを挟む
- 下側の肩が前に押し出されすぎないよう調整する
- 枕の高さを「横向き前提」で合わせる
といった工夫で、肩への一点集中の圧を減らしてあげることです。
3-3. 自律神経と「夜の修理タイム」
睡眠中は、自律神経が「休息モード(副交感神経優位)」に切り替わり、筋肉や内臓、脳のメンテナンスが進みます。ところが、
- 首や肩がずっと緊張している
- 息が浅く、胸やお腹があまり動いていない
- 夜中に何度も目が覚める
といった状態が続くと、からだは「ゆるむ暇がない」まま朝を迎えます。
睡眠と慢性痛の関係を追った研究では、夜間の痛みが強い人ほど、睡眠の主観的な質が悪いという結果も出ています。サイエンスダイレクト+1
肩こりを「筋肉だけの問題」と見るのではなく、「夜の自律神経の休み時間をどれだけ確保できているか」という視点も、とても大切です。
4. よくある生活パターンとからだへの負担、それをどう整えていくか
ここからは、日々の生活でよく見かけるパターンを、少しだけ具体的にしていきます。
4-1. ありがちな「寝る前〜睡眠中」の流れ
例えば、こんな一日の終わり方になっていないでしょうか。
- 寝る直前までスマホやPCで作業・動画視聴
- 首を前につき出したまま、ソファやベッドでうとうと
- 疲れ切った状態で、いつもの枕に頭をポンと乗せてそのまま朝
この流れだと、
- すでに首〜肩の筋肉がかなりこわばった状態でベッドイン
- その状態のまま、合っていない枕で数時間固定
- 夜中〜明け方に痛みやだるさで目が覚める
という、「負担の上塗り」が起きやすくなります。
4-2. 整体りびるどで大事にしている見方
整体りびるどでは、「枕だけ」を見ることはほとんどありません。
- 肩甲骨や胸椎(背中の上の方)の固さ
- 肋骨の動き(呼吸の入り方)
- 骨盤や背骨全体のバランス
- 仰向け・横向き・うつ伏せ、それぞれでの感覚
こういったところをセットで評価しながら、
「この方のからだが、一番安心しやすい寝姿勢はどこか?」
を一緒に探していきます。
首や肩まわりを整えていくと、その方が自宅で使っている枕でも「急に楽になった」というケースもよくあります。これは、枕を変えなくても、からだ側の条件が変わるだけで、寝心地が大きく変わる一例です。
4-3. 松本市周辺ならではの「寒さ」と肩こり
松本市の冬は冷え込みが強く、寝室も冷えやすいですよね。寒さでからだが縮こまり、肩をすくめたまま眠ってしまうと、首や肩の血流はどうしても落ちやすくなります。
- 寝室の温度が低すぎる
- 肩〜背中だけ布団から出てしまっている
- 電気毛布で「身体は熱いのに、部屋の空気は冷たい」
こういった環境も、肩こりと睡眠の質を悪くする一因になります。
暖房・寝具・寝姿勢を含めて、「からだ全体がホッとできる寝床づくり」を意識したいところです。
Q&A:よくあるご質問
Q1. 枕を変えても良くならない肩こりは、どのくらい続いたら受診した方がいいですか?
目安としては、
- 3〜4週間以上、ほとんど改善がない
- しびれ・力が入りにくい感じが出てきた
- 頭痛・吐き気・めまいを伴う
といった場合は、一度整形外科や脳神経外科などの医療機関でのチェックをおすすめします。
「単なる肩こり」に見えても、頚椎のトラブルや他の疾患が隠れているケースもあるため、まずは安全確認をしたうえで、整体などのケアを組み合わせていくのが安心です。
Q2. 整体と病院、どちらに行けばよいか迷ったときの目安はありますか?
- 突然の激しい痛み・しびれ・力が入らない・歩きにくい
- 発熱・激しい頭痛・ろれつが回りにくい
こういった症状がある場合は、まず医療機関の受診が優先です。
一方で、
- レントゲンでは「骨には問題ない」と言われた
- 慢性的な肩こり・首こりで、日常生活はなんとか送れている
- 寝姿勢・枕・姿勢のクセを含めて整えていきたい
このような場合は、整体や理学療法士の視点が役に立ちやすい領域です。整体りびるどでは、病院での検査結果も参考にしながら、生活全体のバランスを一緒に整えていくイメージで関わります。
Q3. 整体にはどれくらいの頻度で通うと効果を実感しやすいですか?
症状の強さや期間によって変わりますが、
- はじめの1〜2か月は、2〜3週間に1回
- 落ち着いてきたら、1か月に1回のメンテナンス
というリズムを提案することが多いです。
もちろん、無理に頻度を増やす必要はありません。
ご自身の生活リズムや予算と相談しながら、「セルフケアでできるところ」と「専門家に任せるところ」を一緒に分担していければと思います。
5. 今日からできる小さな工夫と、専門家に任せていい部分
最後に、「全部は無理でも、ここだけ意識してみてください」というポイントをいくつかまとめます。
| 行動のヒント | イメージ |
|---|---|
| 枕の高さをざっくりセルフチェック | 仰向けで、首の後ろに手のひら1枚分くらいのすき間があるか・顎が上がり過ぎていないかを確認 |
| 横向き寝のときは肩の下にタオル | 下側の肩がつぶれないよう、バスタオルを折って胸の前に抱え、上の腕を預ける |
| 寝る30分前は「首を前に突き出す姿勢」をやめる | スマホ・タブレットを顔の正面まで上げる、もしくは一度手放して首を休ませる |
「がっつりストレッチを毎日30分!」のような完璧さは必要ありません。
まずは、
- 枕の高さを少し変えてみる
- 横向きのときの腕・肩の位置を工夫してみる
- 寝る前30分だけ、首を前に突き出す姿勢を減らしてみる
このあたりから、できそうなものを一つ選んで試してみてください。
それでも朝の肩こり・首こり、頭の重さが続く場合は、からだ全体のバランスや、日中の姿勢・動き方が大きく影響していることも多いです。セルフケアで届きにくい部分は、整体や理学療法士と一緒に整えていくのも、一つのやさしい選択肢です。
「朝が一番つらい」が、「朝がいちばんラク」に近づいていけるように。
不安が強いときや、長く続く痛みがあるときは、お近くの医療機関や、信頼できる整体・リハビリ専門職に遠慮なく相談してみてくださいね。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。







