片側だけの肩こりが続くときに考えたいこと~利き手・仕事姿勢・内臓の影響まで整理する~
「なぜか右だけ」「いつも決まって左肩だけパンパン」。そんな片側だけの肩こりが長く続くと、ちょっと不安になりますよね。単なる使い過ぎのこともあれば、姿勢のクセや利き手の偏り、まれに内臓からのサインが肩に出ている場合もあります。
ここでは、松本市周辺で整体をしている理学療法士としての視点から、「片側 肩こり 原因」を整理しながら、どこまでセルフケアで様子を見て良いのか、どんな状態なら一度相談した方が良いのかをお伝えしていきます。
目次
1. 「いつも同じ側だけつらい」という相談は意外と多い
整体りびるどにも、「右肩だけが石みたい」「左の肩から首にかけてだけ重い」という相談はよく届きます。両肩が同じようにしんどいのと違って、片側だけ続くと「何か悪い病気では…?」と気持ちがざわつきやすいところです。
実際には、
- 利き手側ばかりを使う仕事・家事
- カバンをいつも同じ側の肩にかける
- デスクワークで、マウス側の肩だけ前に出ている
- 横向き寝のとき、いつも同じ側を下にしている
こういった日常の積み重ねが、「片側だけの肩こり」につながっているケースがかなり多く見られます。
一方で、
- 左肩だけの痛みと胸のしめつけ・息苦しさが同時に出る
- 右肩の奥の痛みと、胃やお腹の不調がセットで続く
といった場合には、心臓や肝臓・胆のうなど内臓の病気が隠れていることも報告されています。疾病管理予防センター+1
この記事では、「心配し過ぎなくていい片側の肩こり」と「様子を見ずに受診してほしいサイン」を分けながら、からだの中で何が起きているのかをなるべくわかりやすく整理していきます。
2. 片側の肩こりというとき、からだの中では何が起きているのか
片側の肩こりは「珍しいもの」ではない
日本の調査では、「首・肩のこり(いわゆる肩こり/katakori)」は自覚症状の中で2番目に多いと言われています。fmu.ac.jp
特に中年以降の男女で増えやすく、その中には「片側だけ」「左右差が大きい」というパターンも含まれています。
肩こりそのものはとても身近な症状ですが、「片側 肩こり 原因」を考えるときは、次の三つのレベルで整理するとイメージしやすくなります。
- 筋肉・関節・姿勢などの“構造”の問題
- 自律神経・血流・内臓など“からだの中の環境”の問題
- 痛み・こり感・不安感といった“感じ方”の問題
多くの場合は、この三つが少しずつ絡み合って「決まった側だけつらい」という状態を作っています。
よくあるイメージと、実際の状態のギャップ
「右だけ凝るのは、右肩の筋肉が弱いから」「左肩だけのこるのは、左の筋肉を使い過ぎたから」と考えがちですが、実際には「弱さ」だけで片づけられないことが多いです。
例えば、
- 右利きの人が、マウスやペン、包丁などを常に右手で扱う
- 体重をかけるとき、いつも右脚にばかり乗せている
- 車の運転で、左肘だけアームレストに預けている
こうしたクセが積み重なると、「使い過ぎている筋肉」と「サボっている筋肉」のバランスが片側だけ崩れます。その結果、
- 肩甲骨の位置が左右で少しずつズレる
- 鎖骨や胸の筋肉の張り方が違ってくる
- 首の骨の並び方(アライメント)に左右差が出る
…というように、からだ全体の「位置関係」が微妙に歪んできます。
検査では「異常なし」と言われても、日常の使い方レベルではこうした左右差がはっきり出ていることが少なくありません。
「危ない片側の肩こり」もある
一方で、片側の肩こりの中には「筋肉の凝り」だけでは説明できないものも存在します。
代表的なものとして、
- 心筋梗塞など心臓のトラブル → 左肩〜腕、あご、背中に痛みが放散することがある疾病管理予防センター+1
- 肝臓・胆のう・横隔膜周囲の炎症 → 右肩の奥に痛みを感じる「関連痛」として出ることがあるPMC+1
といった報告があります。
特に注意したいサイン
- 左肩の急な強い痛みと一緒に、胸の圧迫感・息苦しさ・冷や汗・吐き気が出る
- 深呼吸や姿勢に関係なく、ズキズキというより「締め付けられる」「押しつぶされる」ような感覚
- 右肩の奥の痛みと同時に、発熱やみぞおち〜右上腹部の強い痛み、黄疸、吐き気などがある
こういった場合は、整体やマッサージで様子を見る前に、ためらわず医療機関(場合によっては救急)を優先してほしいラインです。
3. 筋肉・姿勢・自律神経・内臓…片側の肩こりを分解してみる
ここからは、片側の肩こりをもう少し細かく分けて見ていきます。
3-1. 筋肉と関節のバランスから見た「片側だけ」の理由
左右どちらか一方の肩こりで多いのは、
- 肩甲挙筋(けんこうきょきん)
- 僧帽筋上部線維
- 大胸筋・小胸筋
- 肩甲骨まわりの小さな筋肉たち(ローテーターカフなど)
の“働きすぎ&伸びなさすぎ”状態です。
例えばデスクワークでは、ある研究で「6時間以上座り続ける生活」は、首の痛みのリスクを約1.9倍に高めるという報告もあります。The Washington Post
スマホやPCで、利き手側の肩だけ前に出た姿勢が続くと、
- 前側(胸)の筋肉が短く固まる
- 後ろ側(肩甲骨を寄せる筋肉)が引き伸ばされっぱなし
となり、最終的に「決まった側だけずっと張っている」状態になりやすくなります。
さらに、
- 片足立ちのクセ
- 片方の足だけでペダルを踏む時間が長い(車の運転など)
- スポーツで片側ばかり使う動き(ゴルフ・テニスなど)
こうした要素が加わると、「骨盤~背骨~肩甲骨」のねじれ方にも左右差が出てきます。その結果、肩の筋肉だけを揉んでもすぐ戻ってしまう“根っこ”が下半身に潜んでいることも珍しくありません。
3-2. 自律神経と血流の視点から見た片側のこり
自律神経は、血管の太さや心拍数、筋肉の緊張具合などをコントロールしている“自動運転”のようなシステムです。ストレスや疲れが重なると、交感神経(アクセル側)が優位になりやすく、首肩まわりの血流が落ちてこわばりが強くなります。
ある職場の研究では、長時間のPC作業や高い業務負担が、首・肩の痛みと関連することが示されています。PubMed+1
片側だけの肩こりでも、
- 仕事中は決まった側の筋肉に力が入りっぱなし
- その状態が何時間も続く
- 血流が悪くなり、乳酸などの疲労物質が溜まる
といった流れで、自律神経の緊張と「片側だけの張り」がセットになってしまうことがあります。
3-3. 内臓からの「関連痛」としての片側肩こり
内臓のトラブルなのに、痛みを感じるのは肩や背中…という現象を「関連痛」と呼びます。
- 心臓の不調 → 左肩~左腕・あご・背中へ痛みが広がることがある疾病管理予防センター+1
- 肝臓・胆のう・横隔膜の問題 → 右肩の奥に痛みや重さとして感じることがあるPMC+1
これは、心臓や内臓からの神経の情報が、首や肩からの痛みの神経と同じ「ルート」を通るため、脳が「肩からの痛みだ」と思い込んでしまうからだと説明されています。
もちろん、片側の肩こりのほとんどは筋肉や姿勢の問題ですが、
- 痛みの質がいつもと違う(締め付け・押しつぶされる感じ)
- 動かしても変わらない、どの姿勢でも同じように強い
- 息苦しさ・動悸・発熱・冷や汗・強い倦怠感などがセット
といったときは、「関連痛の可能性もある」と頭の片隅に置いておくと良いと思います。
3-4. 「感じ方」のクセとしての片側肩こり
同じような姿勢で仕事をしていても、「右ばかり気になる人」と「左ばかり気になる人」がいます。これは、
- 過去にケガをした側を無意識にかばっている
- もともと触られるのが苦手な側がある
- その時期のストレスや不安と結びついて、片側への意識が強くなっている
といった「感じ方のクセ」も関係します。
施術の現場でも、筋肉の硬さ自体は左右で大差ないのに、「この側だけやたらと違和感が強く出る」という方も少なくありません。その場合は、
- 呼吸を整える
- 床やイスへの接地感(からだを支えている感覚)を増やす
- 両側の感覚の“差”をゆっくり確かめてもらう
といったアプローチで、少しずつ片側への過敏さが落ち着いてくるケースもあります。
4. 「よくある生活パターン」と整体で見ていくポイント
ここからは、具体的な生活パターンと片側肩こりのつながりを見ながら、整体りびるどでどんなところをチェックしているかをお話しします。
4-1. デスクワーク・スマホと片側肩こり
- マウスをいつも同じ側で操作
- キーボードが身体の中心からズレている
- 画面がやや右(または左)に寄っている
こうした条件が重なると、利き手側の肩が前にねじれ、反対側とのバランスが崩れます。研究でも、長時間のPC作業や座りっぱなしの時間が長いほど、首・肩の痛みが出やすいことが示されています。SciELO+1
整体では、
- 骨盤と背骨のカーブ
- 肩甲骨の高さ・位置
- 鎖骨のねじれ具合
- 肋骨の動きと呼吸の入り方
などを確認し、片側に偏った負担を「全身の中でどう分散できるか」という視点で整えていきます。
4-2. 家事・育児・スポーツの「片側グセ」
- 子どもを抱っこする腕がいつも同じ
- 買い物袋を同じ側の腕だけで持つ
- 掃除機やモップを持つ手が決まっている
- ゴルフ・テニス・野球など、片側の回旋が多いスポーツ
こういった日常の動きは、筋トレでいう「片側だけのトレーニング」を毎日しているようなものです。筋肉の量や張り感が偏ると、肩こりだけでなく、肘や手首の痛みにつながることもあります。
整体りびるどでは、
- 片側ばかり頑張っている筋肉をゆるめる
- 反対側でサボっている筋肉を呼び起こす
- 骨盤~肋骨~肩甲骨の「連動」をつなぎ直す
といった流れで、片側だけに集中していた負担を全身で受け止め直せるようにしていきます。
4-3. 横向き寝・枕・寝具の影響
「左向きでしか眠れない」「右肩を下にして丸まって寝る」のようなパターンも、片側肩こりの大きな要因になります。
肩関節は、横向きで長時間体重をのせられると、関節の中の圧が高まり、周りの筋肉や腱にじわじわストレスがかかります。
寝具の高さが合っていないと、
- 下側の肩がつぶれる
- 上側の肩が前に倒れこんでくる
- 首の角度に左右差が生まれる
といった状態になり、朝起きた瞬間から「片側だけ重い…」という感覚になりがちです。
整体の現場では、寝姿勢のチェックもかなり重要視しています。ほんの少し枕の高さを変えるだけで、片側だけの肩こりがグッと楽になる方もいます。
Q&A:片側だけの肩こりでよくいただくご質問
Q1. 片側だけの肩こりは、どのくらい続いたら相談した方がいいですか?
目安として、
- 明らかなきっかけ(重い荷物を持った、スポーツをしたなど)があった → 1〜2週間ほどで少しずつ軽くなっていくかどうか
- 特にきっかけが思い当たらない → 3〜4週間続けて変化が少ない
このあたりをひとつの線引きにして良いかなと思います。
ただし、
- 痛みがどんどん強くなっている
- 夜間もズキズキして眠れない
- 腕のしびれや力の入りにくさを伴う
といった場合は、早めに整形外科などの受診をおすすめします。レントゲンや必要に応じてMRIなどで、首や肩の関節・神経の状態を確認してもらうと安心です。
Q2. 片側の肩こりで、整体と病院どちらに行けばよいか迷います…
まず病院(救急含む)を優先してほしいケース
- 左肩の強い痛みに、胸の痛み・息苦しさ・冷や汗・吐き気などが一緒に出ている
- 右肩の奥の痛みと同時に、発熱・腹痛・黄疸など内臓の症状がある
- 交通事故や転倒など、強い外力が加わったあとから痛みが出た
こういった場合は内臓や骨折などの可能性もあるため、整体より先に医療機関が優先です。疾病管理予防センター+1
一方で、
- デスクワークや家事が続くと片側だけ重くなる
- レントゲンでは異常なしと言われたが、コリ感がなかなか取れない
- 姿勢のクセや、からだの使い方から整えていきたい
といった場合は、整体や理学療法士のような「からだの使い方の専門家」に相談してもらうと、お役に立てることが多い領域です。
Q3. 整体にはどれくらいの頻度で通うと効果を実感しやすいですか?
これは状態や生活スタイルによって変わりますが、
- 最初の1〜2か月:2〜3週間に1回ペースで「クセのリセット」を優先
- その後:1か月に1回程度で「メンテナンス」「微調整」
という流れを提案することが多いです。
片側の肩こりは、1回でスッキリしても、生活のクセが変わらないとどうしても戻りやすいもの。施術とあわせて、簡単なセルフケアや姿勢の工夫を一緒に続けてもらうことで、少しずつ「戻りにくいからだ」に近づいていきます。
5. 今日からできる小さなケアと、専門家に任せてほしいところ
最後に、「全部を一気に変えるのは無理…」という方でも取り入れやすい、小さなヒントをいくつか挙げてみます。
5-1. 利き手と反対側を“ちょっとだけ”使ってみる
いきなり「すべて逆の手でやりましょう」と言われるとハードルが高いので、
- エコバッグは両手・両肩で持つように意識する
- スマホを持つ手をときどき反対にしてみる
- 歯みがきだけ、あえて反対の手でやってみる
といった「1日の中で数十秒〜数分」の工夫から始めてみてください。
5-2. デスク周りを“左右対称”に近づける
- 画面の真正面に、身体の真ん中がくるよう調整する
- キーボードとマウスの位置を、できるだけ近づける
- 1時間に1回は立ち上がり、肩甲骨を軽く動かす
ただそれだけでも、「片側だけにじわじわ負担がたまる」スピードをかなり落とせます。
5-3. 寝姿勢と枕を見直す
- いつも同じ側を下にして横向きで寝ているなら、反対側でも寝られるか試してみる
- 肩がつぶれにくいように、少しだけ枕を高く・または低くしてみる
- 胸の前で腕を抱え込まず、できるだけ肘を少し開いた状態で寝る
朝いちばんの「片側だけ重い」が変わると、1日のスタートがかなり違ってきます。
最後に
片側だけの肩こりが続くと、不安も一緒にじわじわとたまってしまいますよね。
簡単に言い切れない部分も多いのですが、
- 多くは「使い方」「姿勢」「クセ」の積み重ね
- 一部には「内臓や心臓からのサイン」も含まれる
- どこまでがセルフケアで、どこからが受診や整体の出番かを知っておく
この3つを押さえておくだけでも、からだとの付き合い方が少し安心できるものに変わってきます。
セルフケアで届きにくい部分や、「これは自分だけでは判断がむずかしいな」と感じるときは、整体りびるどのような専門家に頼るのもひとつの方法です。
不安が強いときや、長く続く痛み・違和感があるときは、どうか無理に我慢せず、お近くの医療機関や信頼できる整体・リハビリ専門職に相談してみてください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。







