眼精疲労からくる肩こり・首こりに悩む方へ
リモートワークやスマホ時間が増えたここ数年、「目の奥がジンジンするような疲れ」と「肩こり・首こり」がセットで続いている、という相談がとても多くなりました。特に30〜70代の方から、「前より画面を見る時間は増えていないはずなのに、疲れ方が全然違う」と言われることが増えています。
目の使いすぎからくる不調は、単なる「目だけの問題」で終わらず、首や肩、場合によっては頭痛や睡眠の質にも波及します。とはいえ、すべてを完璧に改善しようとすると、それはそれでストレスにもなります。
この記事では、理学療法士・整体師としての視点から、「眼精疲労と肩こり・首こりがどうつながるのか」「日常生活でどこをゆるめていくとラクになりやすいのか」を整理していきます。全部を一気に変えなくても大丈夫なので、「ここだけならできそう」というポイントを一つでも拾ってもらえたらうれしいです。
目次
1. 「目の使いすぎと肩こり」がセットになっている相談が増えています
整体りびるどでも、松本市周辺の方から
- 「夕方になると、目の奥と首の付け根が同時にズーンと重くなる」
- 「パソコン作業のあと、肩から頭の後ろにかけてカチカチになる」
- 「スマホを見ていると、いつの間にか首こりと頭痛まで出てくる」
といった声をよく聞きます。
背景として、パソコンに加えて、スマホ・タブレット・ゲーム機など「近くの画面を長時間見る時間」が、仕事でもプライベートでも増えていますよね。
最近の研究では、デジタル機器の画面を長時間見る人のうち、6〜7割以上が「目の疲れ」と同時に首や肩の痛み・こりを感じている、という報告もあります。PMC+1
「年齢のせいかな」と片づけてしまいがちですが、からだの中では割とハッキリとした理由があって、目と首・肩が同時に悲鳴をあげています。ここを理解しておくと、「自分のせい」ではなく「こういう環境と使い方だから、からだがこう反応しているんだ」と少し冷静にとらえやすくなります。
2. 眼精疲労といっても「目だけの問題」ではありません
いわゆる眼精疲労・デジタルアイストレイン(コンピュータービジョン症候群)は、
- 目の症状(乾燥感・かすみ・まぶしさ・ピントが合いづらい など)
- 頭痛や肩こり・首こり、背中のだるさといった「からだの症状」
がセットで起きる状態を指します。Cleveland Clinic+1
よくあるイメージと、実際のからだの状態
「目を使いすぎる → 目が疲れる」だけなら分かりやすいのですが、現実には
- 目の奥が重い
- おでこやこめかみが締め付けられる
- 首の付け根から肩にかけてパンパンになる
と、“顔から下”にも症状が広がることが多いです。
研究を見てみると、デジタル機器をよく使う人のうち、7割前後が肩や首の痛み、6〜7割が目の疲れ・頭痛を感じているという報告もあります。PubMed+1
つまり、「目が疲れている人の多くは、同時に首・肩もつらい」状態になりやすい、ということです。
「レントゲンに写らないつらさ」がメイン
眼精疲労からくる肩こり・首こりは、筋肉や神経の“働き方”の問題が大きく、レントゲンやMRIにはほとんど写りません。
- いつも同じ距離の画面を見る
- ほとんど動かず同じ姿勢が長く続く
- 集中しているあいだ、まばたきが減る
こういった条件が重なることで、目のピントを合わせる筋肉と、首・肩まわりの筋肉がずっと“軽く緊張しっぱなし”になり、ジワジワと疲労がたまっていきます。
「画像には異常がないけど、つらい」
そんなときは、構造の問題というより「使い方と負担のかかり方」の問題であることが多いです。
3. 目と首・肩はどうつながっているのか?からだの中で起きていること
ここから少しだけ、からだの中の話をしていきます。専門用語も出てきますが、できるだけ生活の感覚に落とし込みながら説明しますね。
3-1. ピント調節の筋肉と、首・肩の筋肉が一緒にがんばる
手元のスマホやパソコン画面など、近くのものを見るときには、目の中の「毛様体筋」という筋肉が働いてレンズを厚くし、ピントを合わせています。
近くをじっと見続けると、この毛様体筋が長時間収縮し続けることになり、「ピント調節の筋肉疲労」が起こります。
興味深い研究で、近くを見る作業をさせたとき、ピント調節が増えるほど首から肩にかけての僧帽筋という筋肉の活動も高まる、という結果が報告されています。PLOS+1
ざっくり言うと、「目ががんばると、首・肩の筋肉も一緒に力みやすい」ということです。
3-2. 姿勢の“固定”が続くと、血流がじわじわ低下する
パソコン作業やスマホ操作をしているときの姿勢を想像してみてください。
- 少しあごを前に突き出す
- 背中が丸くなり、肩が内側に入る
- 視線はやや下向きで固定される
こんな状態が1時間、2時間…と続くと、首の前後・肩まわりの筋肉がずっと軽い力で緊張したままになります。
筋肉が長時間こわばった状態になると、血流が低下し、疲労物質が流れにくくなります。長時間の座り姿勢や画面作業が6時間を超えると、首の痛みのリスクが大きく高まるとする研究もあり、現代のライフスタイルそのものが、首・肩まわりの負担を増やしていると考えられます。The Washington Post
3-3. ブルーライトと自律神経のモード
ブルーライトそのものが直接「肩こりの原因になる」というより、
- 目が疲れる
- まぶしさや不快感で交感神経(オンモード)が高まりやすい
- 夜のブルーライトで睡眠の質が落ちる
といった間接的なルートで、肩こり・首こり・頭痛に関わってくると考えられています。デジタルアイストレインの研究でも、ブルーライトを含む画面光が、目の疲れとともに頭痛や首・肩の痛みなどの「筋骨格系の症状」と組み合わさりやすいことが指摘されています。J-STAGE+1
夜遅くまでスマホ画面を見続ける → 眠りが浅くなる → 翌日も疲れが残る
この流れの中で、首・肩のこりも抜けきらず、常にベースラインが高い状態になりがちです。
3-4. 「違和感」もからだの防御反応
痛みだけでなく、
- 重だるい
- 詰まった感じ
- こわばっている気がする
といった“違和感”も、からだの立派な防御サインです。
目の周り・首・肩は、頭と脳を支え、情報を取り込むための大事な部分なので、体は少し敏感にサインを出しやすい場所でもあります。眼精疲労からくる肩こり・首こりは、「これ以上がんばると壊れちゃうよ」というほどのダメージではないにしても、「そろそろ休ませて」「使い方を変えて」というメッセージとして受け止めてあげるとよいかなと思います。
4. よくある生活パターンと、整体での見方・整え方
ここからは、日常生活の中で、眼精疲労と肩こり・首こりが結びつきやすいパターンを整理してみます。
4-1. こんな使い方が続くと負担がたまりやすい
- 朝から夕方まで、ほぼ座りっぱなしでPC作業
- 休憩時間もスマホでSNS・ニュースチェック
- 夜はタブレットで動画、寝る前も布団の中でスマホ
こんな1日が続くと、
- 近くばかりを見る → 目のピント調節筋が疲れる
- 画面に集中 → まばたきが減り、乾燥しやすくなる
- 首が前に出た姿勢が続く → 首・肩・肩甲骨まわりが固まる
- 夜まで画面 → 自律神経が休まりにくく、睡眠の質も落ちる
といったループが起きます。研究でも、こうした「画面時間の長さ」と「目の症状・首の痛み」の関連性が示されています。SpringerLink+1
4-2. 整体りびるどで大事にしている見方
整体りびるどでは、眼精疲労からくる肩こり・首こりの方に対して、
- 首や肩だけを揉むのではなく
- 胸椎(背中の真ん中あたり)の動き
- 肩甲骨の位置と動き
- 肋骨・呼吸の広がり方
- 目線の使い方・頭の位置
といった「つながり」をセットで見ていきます。
首だけを緩めても、背中や肩甲骨がガチガチのままだと、すぐに元の姿勢に戻りやすいからです。逆に、胸郭や肩甲骨が少し自由に動けるようになると、同じ画面時間でも首・肩への負担のかかり方が変わってきます。
施術としては、
- 肩甲骨・肋骨まわりの動きを引き出す
- 首の前側・後ろ側のバランスを整える
- 呼吸がしやすい姿勢に誘導する
といったことを、ソフトなタッチと動きの誘導で行うことが多いです。
4-3. どこまでセルフケアで、どこから専門家に相談?【Q&A】
### Q1. どのくらい続いていたら受診や相談を考えた方がいいですか?
目の疲れと肩こり・首こりが
- 2〜3週間以上ほぼ毎日続く
- 市販の目薬やストレッチだけでは、ほとんど変化がない
- しびれ・力が入らない・めまい・強い頭痛を伴う
といった場合は、一度医療機関でのチェックをおすすめします。特に視力の変化や片側だけの強い痛み、神経症状(しびれや脱力など)があるときは、眼科や整形外科・脳神経外科の受診を優先してください。
整体は、「重さやこわばり」「疲れやすさ」のような慢性的な不調のサポート役として考えてもらうとよいと思います。
### Q2. 整体と病院、どちらに行けばよいか迷うときの目安はありますか?
- 視力の急な低下、視界の一部が見えにくい
- 強い頭痛や吐き気を伴う
- 手足のしびれ・力の入りにくさがある
など、「何か重大な病気が隠れていないか不安な症状」があるときは、まず病院へ。
検査で大きな異常がなく、「筋肉のこわばりや姿勢の問題が大きそう」と言われた場合や、疲れや重さを日常生活レベルで整えたい場合には、整体や理学療法士などのからだの専門家に相談してみるのがよいと思います。
### Q3. 通う頻度や回数の目安はありますか?
状態にもよりますが、眼精疲労からくる肩こり・首こりの場合、
- 最初の1〜2か月は、2〜3週に1回程度
- その後は、月1回ペースでメンテナンス
というリズムを提案することが多いです。もちろん、セルフケアや生活習慣の見直しで良くなってくる方も多いので、「からだの変化」と「ご自身の予定・ご予算」を相談しながら決めていけたらと思います。
5. 今日からできる小さなケアと、頼ってほしいタイミング
最後に、今日から取り入れやすいポイントをいくつかまとめておきます。全部やる必要はないので、「これならいけそう」というものを1つ選んでみてください。
5-1. 「20-20-20ルール」で目と首に小休止を
20分画面を見たら、20フィート(約6m)先を20秒見る。
細かい距離はさておき、「20〜30分ごとに、遠くをぼんやり眺める時間をつくる」と覚えてもらえればOKです。
- ピント調節の筋肉をリセットする
- 集中モードから一度抜けることで、首・肩の力みも抜けやすくなる
という意味で、シンプルですが効果的な習慣です。
5-2. 目だけでなく「肩甲骨とあご」を動かす休憩を入れる
眼精疲労からくる肩こり・首こりでは、首だけを回すストレッチよりも、
- 肩甲骨を後ろに寄せて下げる
- 胸を軽く開く
- あごを軽く引いて、首の後ろをスッと伸ばす
といった動きがセットになっていると、背中〜首全体がリセットされやすくなります。
1時間のうち、30秒〜1分でいいので、仕事の区切りごとに「肩甲骨・あごリセットタイム」を入れてみてください。短い時間でも、積み重ねると変化が出やすくなります。
5-3. 夜の「画面との距離」と「やめどき」を少しだけ見直す
寝る直前までスマホ画面を至近距離で見る習慣は、
- 目の疲れ
- 自律神経のオンモード
- 睡眠の質の低下
をまとめて招きやすい組み合わせです。
- 寝る30〜60分前は、できれば画面から離れる
- 難しければ、せめてスマホを顔から離し、横向きではなく仰向けで見る
- ベッドに入ったら「ここで終わり」と決めるラインを一つつくる
こうした小さな工夫だけでも、翌朝の首・肩の重さが少し違ってくる方が多い印象です。
眼精疲労からくる肩こり・首こりは、「目の使い方」「姿勢」「自律神経」の三つが重なりやすいお悩みです。すべてを完璧に整えなくても、
- 画面時間の区切り方を少し変える
- 肩甲骨とあごの位置をときどきリセットする
- 夜の画面との付き合い方を“ちょっとだけ”見直す
このあたりからでも、からだの反応は意外と素直に変わっていきます。
セルフケアで届きにくい部分や、「一人では続けにくいな」と感じるところは、整体や理学療法士などの専門家と一緒に整えていくのも一つの方法です。松本市周辺で同じようなお悩みが続いている方は、整体りびるども選択肢のひとつとして、いつでも相談してもらえたらうれしいです。無理のないペースで、からだとの付き合い方をいっしょに整えていきましょう。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。







