一日中パソコン仕事で夕方には肩が板みたい…~デスクワーク肩こりの“固まるポイント”をほどく~
朝からパソコンに向かって、気づけば一日が終わる。ふと肩に手を当てると、「板みたいにカチカチ」「服の上からでも分かるほど盛り上がっている」。そんな感覚に覚えがある方、多いと思います。
どうも。
整体りびるどの理学療法士、テラサワです。
私の整体院のお客様に限らず「夕方になると肩が限界」「仕事が終わるころには頭まで重くなる」というデスクワークの相談が、ここ数年でかなり増えています。
今回は、デスクワークやパソコン仕事がきっかけで肩こりがつらくなる方に向けて、「からだの中で何が起きているのか」と「今日から変えられる小さな工夫」を整理していきます。
この記事のポイントは次の3つです。
- デスクワーク肩こりは「姿勢そのもの」よりも、長時間同じ姿勢+環境設定のズレが大きな要因になりやすい
- モニターの高さ・肘の支え・キーボード位置など、“固まりやすいポイント”を変えるだけでも負担はかなり変わる
- セルフケアで届きにくい部分は、関節や筋膜を整える整体で“動きやすい土台”を作るとラクになりやすい
目次
1. 「夕方になると肩が板みたい」なデスクワーカーのリアル
夕方が近づくにつれて、肩がじわじわ固まってくる。
- 朝はまだマシだけど、15〜16時を過ぎると肩がパンパン
- 会議が続いた日ほど、首から肩にかけて鉄板みたい
- 家に帰るころには、頭まで重くて家事や育児に回すエネルギーが残っていない
こんな声を、松本市周辺のオフィスワーカー・フリーランスの方からよく聞きます。
特にここ数年は、在宅勤務やリモートワークも増え、
「ダイニングテーブルで仕事をするようになってから肩こりが悪化した」
「ノートパソコンだけで作業する日が増えて、首まで痛くなってきた」
というケースも多い印象です。
一方で、同じ“肩こり”でも
- スマホの見すぎ・ストレートネック寄りの肩こり
- 冷えや自律神経の乱れが強いタイプの肩こり
- 家事・育児・抱っこ中心の“家事肩”
など、原因の軸は人それぞれ。
今回フォーカスしたいのは、「仕事の時間帯に悪化しやすい」「デスクに座っているほど固まる」タイプの肩こりです。
ここを切り分けて考えると、対策もグッと具体的になります。
2. デスクワーク肩こりの正体は「姿勢+環境+時間」の掛け算
「デスクワーク 肩こり」で検索すると、「姿勢が悪いから」「猫背だから」といった説明がたくさん出てきます。たしかにそれも一部は正しいのですが、現場で身体を診ている感覚としては、もう少し立体的です。
ざっくり言うと、デスクワーク肩こりの正体は、次の3つの掛け算で起きています。
- 長時間、同じ姿勢が続く(長時間座位)
- モニターや椅子、キーボードなどの「環境設定のズレ」
- 作業量やストレスによる、筋肉と自律神経の緊張
「長時間座位」が首〜肩の血流をじわじわ落とす
近年の研究では、一日6時間以上“座りっぱなし”の時間が続く人は、首や肩の痛みのリスクが高くなることが報告されています。特に、画面を見るような“座位でのスクリーン作業”が首の痛みと関係しやすいとされています。ニューヨーク・ポスト
同じ姿勢でじっとしていると、筋肉はわずかに力が入り続けたまま。血流が落ち、老廃物がたまりやすくなり、「重い」「だるい」「板みたい」という感覚につながっていきます。
「環境設定のズレ」が、余計な力みを生む
さらに、モニターの高さ・椅子の高さ・肘の支え方が合っていないと、肩まわりは必要以上に力みやすくなります。
- モニターが低い → 顔が前に出て、首の後ろがガチガチ
- 肘を預ける場所がない → 肩をすくめたままタイピング
- キーボードが遠い → 腕を前に突き出す姿勢が続き、肩が前に巻き込まれる
オフィスワーカーを対象にした研究では、椅子やモニターの高さを調整し、身体に合わせたワークステーション環境を整えることで、首や肩の痛みが軽くなる傾向が報告されています。PMC+1
「ストレス・集中モード」で呼吸が浅くなる
締め切りが迫っていたり、オンライン会議が続いたりすると、自然と呼吸が浅くなります。交感神経が優位な“戦闘モード”が続き、首〜肩の筋肉も緊張気味に。
- 画面に集中して瞬きが減る
- 食いしばりが強くなる
- 呼吸が浅く、胸の上の方だけで吸っている
こうした状態が何時間も続くと、首・肩まわりの筋肉は、まるで「24時間営業のコンビニ」のように休めない状態になり、夕方には完全にオーバーワークになります。
デスクワーク肩こりをほどくカギは、この**「姿勢+環境+時間」を少しずつほどいていくこと**にあります。
3. 肩が板のように固まるとき、からだの中で起きていること
ここからは、もう少しからだの内側の話をしていきます。
① 筋肉・関節の視点:僧帽筋だけじゃない、「支え役」たちの疲労
「肩こり」と聞くと、まず思い浮かぶのは首の付け根〜肩の上にある僧帽筋。でも、デスクワーク肩こりでは、実は肩甲骨まわりや、胸の筋肉、肘を支える前腕の筋肉までセットで負担がかかっています。
- 肩甲挙筋:首から肩甲骨を引き上げる筋肉
- 僧帽筋上部:いわゆる“肩こりのど真ん中”
- 小胸筋:肩を前に引き込み、猫背に一役買ってしまう筋肉
この辺りが、「ずっと同じ長さで引っ張られ続ける」状態になると、筋膜も含めてゴワゴワと硬くなり、「板」のような感覚が出てきます。
オフィスワーカーを対象にした研究の中には、モニターの高さや肘の支え方を変えるだけで、首や肩の筋肉の負担が減り、痛みが軽くなったという報告もあります。サイエンスダイレクト+1
② 自律神経・血流の視点:座りっぱなしで「オン状態」が続く
自律神経のうち、交感神経は“アクセル”、副交感神経は“ブレーキ”の役割をしています。
デスクワーク中は、どうしても交感神経が優位になりがち。
そこに長時間座りっぱなしが加わると、
- 心拍数や血圧は少し高めのまま
- 末梢(手足や肩・首)への血流がやや滞りやすい
- 目や脳は常に情報処理フル回転
という状態が続きます。
最近の研究では、座りっぱなしの時間を減らす介入を行ったオフィスワーカーでは、首や肩の痛みがやや減る傾向にあったとする報告もあります。MDPI+1
「立ち仕事の方がきつそう」と思われがちですが、座りっぱなしも“静かな負荷”として、じわじわ効いてくるんですね。
③ 感覚・メンタルの視点:「こり感」はからだからのSOS
面白いのは、肩の硬さと「こり感」が、必ずしも一致しないこと。
私が触診していても、
- 触るとガチガチなのに、自覚としては「そんなに気になりません」という方
- 触るとそこまでではないのに、「常に重くて、集中できない」という方
いろいろです。
これは、脳が「危険」「負担」と感じる度合いによって、こり感・痛みの強さが変わってくるためと考えられています。
- 「ミスしちゃいけない」「早く終わらせなきゃ」というストレス
- 評価・締め切り・人間関係のプレッシャー
- 在宅勤務でON/OFFの切り替えが難しい
こうした要素も、からだの緊張を底上げしてしまいます。
「肩が板みたい」は、筋肉の状態だけでなく、**自律神経・メンタル・環境が重なった“トータルのSOSサイン”**ととらえてあげると、対策が柔らかく見えてきます。
4. よくあるデスクワークのパターンと、整体で見ているポイント
ここからは、生活パターンに少し踏み込んでいきます。
典型的な「固まりやすい」ワークスタイル
例えばこんな1日。
- 朝からオンライン会議が続き、気づけばお昼前まで座りっぱなし
- ノートパソコンを少し低めの位置で使用
- 肘を預ける場所がなく、肩をすくめたまま入力
- 集中すると前のめりになり、顔がモニターに近づく
- 休憩時間もスマホチェックで、結局ずっと画面を見ている
このパターンが続くと、次のような負担が積み重なります。
- 頭の位置が前に出て、首の後ろの筋肉が引き伸ばされっぱなし
- 肩甲骨が外側に開き、肩の上が盛り上がる
- 胸の筋肉が縮こまり、胸郭が固まって呼吸が浅くなる
整体でチェックしているポイント
整体りびるどでデスクワーク肩こりの方を診るときは、いきなり肩をもみほぐすのではなく、次のような順番で見ていきます。
- 骨盤・腰椎の位置
- イスの座り方を再現してもらい、骨盤が寝すぎていないか
- 胸椎(背中)の動き
- 前かがみから起き上がるときの動きのなめらかさ
- 肩甲骨の動き方
- 腕を上げたとき、肩だけで上げていないか
- 首の位置と可動域
- 前後左右の動きに左右差がないか
- 胸郭と呼吸の広がり
- 息を吸ったとき、肋骨が前だけでなく横・後ろにも広がるか
実際の施術では、
- 背中(胸椎)の動きを出して、頭が前に出にくい土台を作る
- 肩甲骨まわりの筋膜を緩めて、「肩だけで頑張るパターン」を減らす
- 胸〜肋骨の動きを引き出し、呼吸を深くしやすい状態にする
といったステップで整えていきます。
「肩をもむ」ではなく、「肩が固まりにくい環境をからだの中に作る」イメージですね。
生活習慣を少し変えるだけでも、からだは応えてくれる
研究の中には、椅子や机の高さ・モニター位置を調整したグループで、首・肩・背中の痛みが有意に減ったという報告もあります。PMC+1
完璧な環境を目指さなくても、
- モニターを少しだけ高くする
- 肘を支えられる椅子やアームレストを使う
- キーボードを身体に近づける
といった**「1〜2割の調整」だけでも、夕方の肩の感覚が変わる方は多い**です。
ここからは、よくいただく質問にお答えします。
Q1. どのくらい続いたら、病院や整体に相談した方がいいですか?
一時的な肩こりであれば、数日〜1週間ほどで自然に軽くなることもあります。
- 3週間以上、同じような肩こり・首こりが続いている
- 手にしびれが出る、夜間に痛みで目が覚める
- 頭痛や吐き気を伴うことが増えてきた
こういった場合は、一度医療機関(整形外科・脳神経外科など)で検査を受けることをおすすめします。
検査で大きな異常がないと言われたけれど辛さが続く、というケースでは、整体やリハビリ専門職に相談して、動き方や姿勢・環境を含めて見直していくとよいです。
Q2. 整体と病院、どう使い分ければいいでしょうか?
- 強い痛みが突然出た
- 手足のしびれ・力の入りにくさがある
- 熱・めまい・ふらつきなど、全身症状を伴う
こういった場合は、まず病院での診察が優先です。
一方で、
- レントゲンやMRIでは「特に異常なし」と言われた
- デスクワークの量が増えてから段々と辛くなってきた
- 姿勢や使い方を含めて相談したい
といった場合は、整体や理学療法士のような“からだの使い方の専門家”に相談すると、日常生活レベルでの工夫まで一緒に考えやすいです。
Q3. どれくらいの頻度で通うと、デスクワーク肩こりはラクになりやすいですか?
状態にもよりますが、目安としては
- はじめの1か月は、2〜3週に1回
- その後は様子を見ながら、月1回のメンテナンス
というペースで落ち着く方が多い印象です。
ただ、**通院ペースよりも大切なのは、「普段の座り方・環境・休憩の取り方」**です。整体は、からだの土台を整えたり、自分では気づきにくいクセを一緒に見つける場として活用してもらえると良いと思います。
5. 今日からできる小さな工夫と、プロに任せてもいい部分
最後に、デスクワーク肩こりを少しでもラクにするための「今日からの一歩」を、いくつか挙げてみます。
| やってみること | イメージ・ポイント |
|---|---|
| モニターの上端を「目の高さ」に近づける | 顔を前に突き出さなくて済み、首の後ろの負担が減る |
| 肘をしっかり預ける | 肩をすくめるクセが減り、僧帽筋の“24時間営業”をやめさせる |
| 30〜60分に1回、30秒だけ立ち上がる | 血流のリセット。トイレ・給湯室に行くだけでもOK |
| 1日のどこかで「深呼吸3回」 | 胸を広げて息を吸い、ゆっくり吐くことで、自律神経のブレーキを入れる |
全部やろうとすると大変なので、「これならできそう」というものを1つか2つだけ選ぶところから始めてみてください。
そして、
- 自分なりに環境を工夫してもなかなか変わらない
- すでに肩こりが生活の質を下げていると感じる
- どうしても仕事柄、デスクワーク時間を減らせない
こういった場合は、肩まわりだけでなく、背中や骨盤を含めて“全体の動きやすさ”を整えていく整体も、一つの選択肢です。
からだは、本来「変わる力」「元に戻る力」を持っています。
デスクワークという現代ならではの負担はありますが、ほんの少し環境とからだへの気づきを増やすだけでも、夕方の肩の感覚は変わってくれます。
「このまま我慢するしかない」と決めつけず、できるところから一緒に整えていきましょう。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。







