「朝起きると手がこわばる」──血流のせいじゃない“神経の寝起き”とは?

冬の朝に手のこわばりを感じる人に向けて、神経の再起動を解説する理学療法士テラサワの整体ブログ記事

朝、手がこわばって動かしにくい――そんな経験ありませんか?

寒くなってくると、「朝、手が固まって動かない」「指がこわばって力が入りにくい」と感じる人が増えてきます。
一見すると血流の問題のように思えますが、実はそれだけでは説明できません。

手が動きにくいとき、体の中では“神経の寝起き”が起こっています。
つまり、脳と体の連携がまだ完全に立ち上がっていない状態なのです。

この記事では、冬に多い「朝の手のこわばり」を神経生理学の視点から整理し、
どのように整えれば良いのかを、日常に落とし込める形でお伝えします。


「血行不良だから」は半分正解、でも本質ではない

多くの方が「冷え=血行不良」と考えます。
確かに、血液の流れが悪くなると手先が冷たくなり、筋肉もこわばりやすくなります。
しかし、血流をコントロールしているのは“自律神経”です。

交感神経が優位になると、血管が収縮して末端への血流が減ります。
これは、体を守るための自然な反応です。

ただし、朝に手がこわばるときはそれ以上の要因――つまり神経の活動そのものが目覚めていない可能性が高いのです。

睡眠中、私たちの体は副交感神経が優位になり、体温を下げ、筋肉や神経の働きを抑えています。
そのため、朝に急に動こうとしても、神経系がまだ“スリープモード”のままで反応が鈍くなっている。
この「神経の寝起き状態」こそ、冬のこわばりの核心です。


手がこわばる3つの背景(構造・神経・感覚の視点から)

① 構造:睡眠姿勢による圧迫と緊張

寝ている間に腕や手を下にしていると、神経や血管を軽く圧迫する姿勢が続くことがあります。
特に、首(頸椎)から腕へ伸びる「腕神経叢」は肩の位置や鎖骨周囲の筋の張りに敏感で、
寝返りが少ない人では神経伝達が一時的に鈍くなるケースがあります。

また、寝具の高さや枕の位置によって首まわりにテンションがかかり、
頸部神経が緊張して朝の手の感覚に影響を及ぼすことも少なくありません。

② 自律神経・呼吸:体温リズムの乱れ

人間の体温は、夜間に1℃ほど下がり、朝方に再び上昇していくことで目覚めを促します。
ところが、寒い季節は室温と体温差が大きく、このリズムが乱れやすくなります。

体温が上がりきらないまま起きると、交感神経のスイッチが入らず、
筋肉・神経ともに「半覚醒」の状態に。これが「手が動かない」「こわばる」原因です。

さらに呼吸も浅くなりやすく、横隔膜の動きが鈍ることで全身の循環も低下します。
“冷えと浅い呼吸”は、手先の感覚をにぶらせる二重の要因となります。

③ 意識・心理:ストレスと脳の興奮状態

ストレスや緊張が続くと、眠りが浅くなり、深いノンレム睡眠が減少します。
この「脳の休息不足」は、神経の切り替えを鈍らせ、朝の目覚めにも影響します。

実際に、「寝ても疲れが取れない」「朝から体が固まる」という人の多くが、
夜間の交感神経過活動(=リラックスできていない状態)を抱えています。


臨床で見えてきた共通点

理学療法士として多くの患者さんを拝見してきましたが、
朝に手がこわばる人にはいくつかの共通点があります。

  1. 呼吸が浅く、胸郭が硬い
     胸の動きが小さいと、首から腕への神経経路に負担がかかりやすくなります。
  2. 首・肩・鎖骨周囲の緊張が強い
     これにより腕神経叢の通り道が狭くなり、末梢感覚の伝達が低下します。
  3. 睡眠環境が寒く、温度変化が急
     布団の中と外の温度差が大きいと、自律神経の切り替えに負担がかかります。

興味深いのは、手のこわばりを訴える人の多くが「寝返りの回数が少ない」ということ。
夜間の微細な体の動き(寝返り)は、筋肉や神経に小さな刺激を与え、
体を“少しずつ目覚めさせる”役割を担っています。

つまり、「動かない夜」が「動きにくい朝」をつくるのです。


今日からできる小さな実践(セルフケア)

① 寝る前に「肩甲骨ほぐし」

両肩をゆっくりすくめて下ろす、背伸びをする、肩甲骨を寄せて開く――。
こうした動きを数回行うだけで、首から腕にかけての神経経路が緩み、
睡眠中の圧迫リスクを減らすことができます。

② 布団の中で「手首くるくる運動」

目覚めたら、布団の中で手首を小さく回してみましょう。
これだけで末梢神経への刺激が入り、感覚の再起動がスムーズになります。

③ 朝一番の「深呼吸」

起き上がる前に、鼻から息を吸って、口から長く吐く。
たった3回でも、自律神経が整い、体温上昇と血流改善が促されます。

④ 手を温めるより「体幹を温める」

手だけを温めても一時的。
実は、体幹(お腹や背中)を温めることで中枢体温が上がり、
手足の血流も自然に回復します。


まとめ|手のこわばりは“神経の寝起き”を整えるサイン

朝の手のこわばりは、単なる冷えではなく、神経がまだ目覚めきっていないサイン
「血流を良くする」だけでなく、「神経を再起動させる」ことが大切です。

そのためには、
・寝る前の姿勢と呼吸を整える
・朝の小さな動きを習慣化する
・体幹を冷やさない

――この3つを意識するだけでも、朝の動きやすさが変わります。

人の体は、眠っている間も生きて働き続けています。
その“再起動の瞬間”を丁寧に扱うことが、整った一日への入口です。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
身体の不調でお悩みがあれば、是非お気軽に松本市岡田の整体りびるどへご相談下さい。

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