肩が詰まる人は鎖骨が止まってる?~挙上・後方回旋セルフチェック~
松本市岡田の整体りびるど、テラサワです。
腕を上げた瞬間に「肩の前が詰まる」「途中で引っかかる」感じがある人は、肩そのものより“鎖骨の動き”が置き去りになっていることがあります。今日は、家で安全に確認できるポイントを整理します。
目次
1. 「肩の詰まり」は肩だけの問題じゃないことが多い
臨床で「肩が詰まる」と相談される方をみると、痛い場所は肩の前でも、動きの遅れは別の場所にあることがよくあります。代表が“鎖骨”です。
肩は、腕の骨(上腕骨)と肩甲骨だけで動いているわけではありません。肩甲骨は、肋骨の上を滑るように動き、さらにその肩甲骨は鎖骨を介して胸骨側(胸の中央)ともつながっています。つまり肩の動きは、肩甲骨+鎖骨+胸郭のセットで成立します。
ここが噛み合わないと、腕を上げるときに本来は分散されるはずの負担が、肩の前側に集中します。結果として「詰まり」「引っかかり」「すくみ」が出やすくなります。痛みの有無にかかわらず、まずは“連動が起きているか”を確認できると安心材料になります。
2. 肩こりのせい?四十肩のせい?…その前に見落とされがちな視点
肩が詰まると、多くの人は次のどちらかに寄りがちです。
- 「筋肉が硬いからマッサージでほぐせばいい」
- 「四十肩・五十肩かも。動かすと悪化しそう」
どちらも気持ちは分かります。ただ、ここで一つだけ現実的な落としどころがあります。
“硬さ”は原因というより、体が守るために作った結果のことが少なくありません。詰まる動きのまま無理に上げれば、確かに悪化します。でも「動かさない」だけでも、肩甲帯の連動はさらに鈍くなりやすい。
肩の痛みや不調は珍しいものではなく、地域住民ベースの調査では肩の痛みの有病率が幅広く報告され、中央値が約16%とされるレビューもあります(出典:系統的レビュー, 2022)。 PubMed
つまり「自分だけおかしい」と決めつける必要はありません。大事なのは、今の状態を分解して把握することです。
ざっくり要約
- 肩の詰まりは「肩の前」だけで起きていない
- 鎖骨と肩甲骨がセットで動けないと、詰まり感が出やすい
- “動かすか・動かさないか”の二択ではなく、動かし方の再設計が要点
3. 鎖骨が動くと、肩の通り道が広がる(挙上と後方回旋)
ここから少しだけ体の中の話をします。難しい言葉は、生活語に置き換えます。
腕を上げるとき、鎖骨は主に2つの動きをします。
- 挙上:鎖骨が少し持ち上がる(胸の前で“屋根”が上がる感じ)
- 後方回旋:鎖骨が“ねじれて”後ろ方向に回る(鎖骨が寝て、肩の土台が広がる感じ)
この「挙上・後方回旋」は、肩甲骨の動きと連動して起こります。鎖骨の動き(胸鎖関節まわりの運動)は、挙上/下制、前後回旋、前後方移動などとして整理されることが多く、肩甲帯の運動学の基本として扱われます(出典:肩甲帯運動のレビュー, 2022)。 PMC
そして、鎖骨や肩甲骨の動きは“人による幅”がかなり大きいことも分かっています。肩の痛みがある人でも、全員が同じパターンの乱れを示すわけではない、という系統的レビューも出ています(出典:RCRSPに関するシステマティックレビュー, 2025)。 PMC+1
ここは大事で、「この動きが悪い=必ず病気」ではありません。逆に言うと、セルフチェックは診断ではなく、**“自分のクセを知る道具”**として使うのが安全です。
鎖骨が止まると何が起きやすい?
- 腕を上げるときに肩がすくむ(首が頑張る)
- 肩甲骨がうまく回らず、肩の前が詰まりやすい
- 胸郭が硬い日は特に、引っかかりが強くなる
4. 鎖骨の挙上/後方回旋セルフチェック(安全に、短く)
セルフチェックは「痛みを出さない範囲」で行います。鋭い痛み、夜間痛が強い、外傷(転倒など)の直後、しびれや脱力がある場合は、チェックより先に医療機関で評価が優先です。
チェック前の準備(30秒)
- 鏡の前で立つ or 椅子に浅く座る
- 肩の力を抜き、呼吸を2回ゆっくり
- “良い姿勢を作る”より、いつもの姿勢のままでOK
① 鎖骨の「挙上」チェック(0〜90度の途中)
- 片手の指先で、反対側の鎖骨の外側(肩に近いあたり)に軽く触れる
- 反対の腕を、ゆっくり前から上げる(痛みが出ない範囲で)
- 途中で、鎖骨が“少し持ち上がる感覚”があるかを見る
見え方の目安
- うまく連動している:肩がすくまず、鎖骨がわずかに上がる
- 連動が弱い:肩だけが上に逃げる、首が先に固くなる、詰まり感が早い
② 鎖骨の「後方回旋」チェック(90度以降の“通り道”)
後方回旋は触って分かりにくいので、代わりに“現象”を確認します。
- 肘を軽く曲げ、腕を横から上げる(いわゆるバンザイより少し前)
- 90度を超えたあたりで、肩の前が詰まるかを確認
- 次に、以下の“介助”を入れて同じ動きを試す
- 胸を反らすのではなく、息を吐きながら肋骨の前側を少し下げる
- 肩甲骨を寄せるのではなく、脇の下が長くなる感じを作る
この介助で詰まりが軽くなる場合、肩そのものより「土台(胸郭・鎖骨・肩甲骨の協調)」の要素が濃い可能性があります。
生活で起きやすい“鎖骨が止まりやすい場面”
- ノートPCで肘が体より前に出る時間が長い
- ダウンや厚手の上着で胸郭が固まりやすい
- 呼吸が浅い日が続いている
- 肩を回すと“首”ばかり疲れる
ヒント整理(詰め込みすぎない表)
| ありがちな場面 | 体の感じ方 | まずやる工夫 |
|---|---|---|
| PC作業が長い | 肩が前に詰まる | 画面を上げて肘を体に近づける |
| 服の着脱で引っかかる | 肩の前が痛い/怖い | 先に吐く呼吸で肋骨を落ち着かせる |
| 朝イチが特に硬い | 肩がすくむ | バンザイより「脇を伸ばす」動きから |
「セルフケアが合っているか不安」「整体に行くかどうか迷っている」方は、“どこが動いていないか”を一緒に見立ててもらうだけでも、無駄打ちが減ります。
Q&A(第4章)
Q1. 鎖骨の動きが悪いと、どこが痛くなりやすいですか?
肩の前(腕の付け根)に詰まり感が出たり、首の付け根が張りやすくなったりします。ただし痛みの場所は人によって違います。大切なのは「痛い場所」より、腕を上げるときに肩がすくむか・胸郭が止まるかなど“動きの質”を見ることです。 PMC
Q2. 肩甲骨はがしやストレッチを頑張れば、鎖骨も動きますか?
一部は動きます。ただ、強く引っ張るほど良いわけではありません。肩甲帯の運動は個人差が大きく、痛みのある人も全員が同じ乱れ方をするわけではないため、「効く方法」も人で変わります。合う方向性としては、肩甲骨だけでなく胸郭の動きと呼吸もセットで扱うほうが再現性が上がりやすいです。 PMC+1
Q3. 整体と病院、どちらに行けばいいか迷うときは?
目安はシンプルです。
- 病院(整形外科など)が優先:外傷直後、安静でも強い痛み、夜間痛が増える、しびれ/脱力、発熱、明らかな可動域制限が急に出た
- 整体などのケアが合いやすい:慢性的な詰まり感、動きによって症状が増減、姿勢や呼吸で軽くなる、原因が生活動作に絡んでいそう
判断がつきにくい場合は、まず医療機関で“除外診断”をしてからケアに進むのも堅実です。
5. 今日からの一歩は「鎖骨を動かす」より「止めない環境づくり」
最後に、実行しやすい順で3つだけ置きます。どれか一つで十分です。
1つ目。肘を体から離しすぎない。デスクワークで肘が前に出るほど、肩の土台は固まりやすい。机に近づく、肘置きを使う、画面を上げる。小さな変更が効きます。
2つ目。“バンザイ練習”より、脇の下を長くする。詰まる角度まで無理に上げない。息を吐いて肋骨が落ち着く範囲で、脇が伸びる動きを数回。これなら続けやすいです。
3つ目。良い日と悪い日を分けて考える。寒い日、疲れた日、呼吸が浅い日は詰まりやすい。そういう日は「整える日」にして、上げ幅を小さくする。体はちゃんと学習します。
つらさが続くときは、専門家に相談するのも一つの方法です。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事があなたのより良い生活のための一助になりますように。







