その痛み、四十肩?五十肩?それともただの肩こり?
目次
その「肩の痛み」、ちょっと気になってきていませんか?
夜、ふと上着を脱ごうと腕を後ろに回した瞬間、「イタッ…!」と肩にズキっとくる。
朝、顔を洗おうと腕を持ち上げると、なんとなく動きがぎこちない。
「疲れてるだけかな」「そのうち治るか」と思いながら、気づけば数ヶ月。
湿布やストレッチをしても、良くなるどころか、
「肩こり」というより「関節の奥が痛い感じ」が増えてきている…。
こんなとき、ふと頭をよぎるのが
「これって四十肩・五十肩なの? それとも、ただの肩こり?」という疑問です。
今日はこのナゾを、「からだのトリセツ」の視点から、
構造・神経・感覚の3つのレイヤーでやさしく紐解いていきます。
1. 結論:一言でいうと、「動かしたときの痛み方」と「期間」が大きなヒントです
一言でいうと、
腕を動かしたときの“関節の奥の痛み”と“動かしにくさ”が強くなり、
それが数ヶ月〜半年以上続くようなら、四十肩・五十肩を疑った方がよいからです。
ざっくり分けると、
- 「肩こり」寄り
→ 首〜肩周りの筋肉のこわばりがメイン(重だるさ・張る感じ) - 「四十肩・五十肩」寄り
→ 肩関節そのものの炎症や固さがメイン(腕を上げる・ひねると鋭い痛み)
という違いがあります。
ここには、
- 構造:肩関節の「袋(関節包)」やスジ(腱)、筋肉の状態
- 神経:炎症や長引く痛みにより、痛み神経が敏感になっているかどうか
- 感覚:どんな動きで、どの方向に、どんな痛み方をするのかという“感じ方のクセ”
が、それぞれ違う形で関わっています。
次の章で、もう少し整理していきましょう。
2. 理由:何が起きているのか?3つのポイントで整理
ポイント①:同じ「肩の不調」でも、そもそものスタート地点が違う
- ただの肩こり
→ 長時間の同じ姿勢・ストレス・冷えなどで「筋肉」が固まる状態。
重だるさ・パンパン感・首すじ〜肩甲骨周りのこわばりが中心です。 - 四十肩・五十肩(肩関節周囲炎など)
→ 肩の関節を包んでいる「関節包」や腱板(けんばん:肩の深い筋肉のスジ)に炎症や癒着が起き、
関節そのものの動きが制限されていく状態です。
腕を一定の角度まで上げると、関節の奥にズキっとした痛みが出やすくなります。
だから、筋肉の疲れメインなのか、関節そのもののトラブルなのかが大きな分かれ目です。
ポイント②:「どの動きで」「どんな痛さか」が決定的な違いになる
肩こりは、多くの場合
- じっとしていても重だるい
- 温めると少し楽
- 動かしても「痛くて上がらない」というより「凝ってて動かしづらい」感じ
であることが多いです。
一方、四十肩・五十肩に近づいてくると、
- 腕を前や横に一定以上上げようとしたときに「ここから先がズキッと痛い」
- 夜、寝返りで肩を下にするとズキっと痛んで目が覚める
- エプロンの紐を結ぶ、ブラのホックをとめるなど、後ろに手を回す動きがつらい
といった「方向と角度が決まった痛み」が出てきます。
つまり、動きと痛みの関係がハッキリしてくるかどうかが、見分けの大きなポイントです。
ポイント③:長引くことで「神経・感覚」が過敏になってくる
痛みが数週間でおさまっていけば、筋肉疲労寄りの肩こりであることも多いですが、
3ヶ月以上続く・むしろ悪化している場合は、神経や感覚の側もだんだん変化してきます。
- 痛みの神経が敏感になり、少しの動きでも強く痛みを感じやすくなる
- 「また痛くなるのでは」という警戒感から、本人も無意識に肩を動かさなくなる
- 動かさない時間が増えることで、関節包や筋肉がさらに固くなる
こうして、**「痛いから動かさない → さらに固くなる → もっと痛くなる」**という
悪循環に入りやすくなります。
だからこそ、「ただの肩こりだろう」と放置し続けるのはもったいないのです。
3. しくみ:構造 × 神経 × 感覚でみる「四十肩・五十肩」と「肩こり」
① 主役は「関節包」と「腱板」か、「筋肉」か
肩こり寄りのケース
- 主に首〜肩〜肩甲骨周りの筋肉(僧帽筋・肩甲挙筋など)がガチガチ
- 触ると「ここ、固いですね」と分かりやすいコリがある
- 関節の動き自体は、多少重くても「なんとか動く」ことが多い
四十肩・五十肩寄りのケース
- 肩の深いところにある「関節包」が縮こまり、
いわば“肩関節の袋”がキュっとすぼまった状態になっているイメージです。 - 腱板(インナーマッスルのスジ)の炎症や小さな断裂が隠れていることもあり、
肩の奥の鋭い痛みや、腕の重さが強く出やすくなります。
本来なら、肩は「丸いボール(上腕骨の頭)」が「お皿(肩甲骨のくぼみ)」の中で
クルクルなめらかに転がるように動きます。
ところが、関節包が固くなってくると、
このボールが「ゴリゴリ」とひっかかりながら動くような状態になり、
特定の角度で無理がかかって痛みが出るのです。
② 炎症+長期化で「痛みセンサー」が敏感に
炎症が起きると、痛みを伝える神経が活性化します。
それ自体は“からだを守るためのアラーム”ですが、
長く続くほど、神経は**「ちょっとした刺激でも強く痛みを感じる」モード**になりやすくなります。
- 以前なら気にならなかった動きでも「イタッ」となる
- 夜間痛(寝ているときのズキズキ)が続き、眠りの質も落ちる
- 「また痛くなるのでは」という不安が、さらに筋肉の力みを生む
このように、構造のトラブルが、神経システム全体の“過敏モード”を引き起こすことが多いです。
肩こりの場合も神経の影響はありますが、
四十肩・五十肩は「炎症+関節の固さ」がセットになっていることが多く、
より強く神経系が揺さぶられやすいイメージです。
③ 「どこが」「どうすると」「どんな痛みか」をチェック
ご自身で見分けるヒントとして、次のような“感覚の違い”があります。
A. どこが痛いか
- 肩こり:首すじ・肩の表面・肩甲骨の内側が重い・張る感じ
- 四十肩・五十肩:肩の前側〜奥の方、二の腕の外側に響くような痛み
B. どうすると痛いか
- 肩こり
→ 同じ姿勢が続くとじわじわつらい、温めると少しラク、
肩を大きく回すと「気持ちいい痛さ」であることも多い - 四十肩・五十肩
→ 腕を前・横に一定以上上げるとハッキリ痛い/
後ろに手を回す(背中側)とビリッとくる/
夜、寝返りや布団の引き上げで「うっ…」となる
C. 痛み方
- 肩こり:重い・だるい・じんわりした痛み
- 四十肩・五十肩:鋭い・電気が走るような痛み+動かしたときの「引っかかり感」
簡単セルフチェック
- □ 腕を横から上げていき、耳の近くまでスッと上がるか
- □ 腕を後ろに回して、腰のあたりまで手が届くか
- □ そのとき、「張る感じ」なのか「ズキッと刺す痛み」なのか
「ズキッと刺す痛み」や「途中から全然上がらない」が続く場合は、
四十肩・五十肩寄りのサインと考えて、一度専門家に相談してみてもよいタイミングです。
4. 日常でできる一工夫:今日から変えたい“肩の扱い方”
工夫①:痛みが強い時期は「がんばって回す」をいったん卒業する
P:痛みが強いときほど、「無理に大きく回さない」ようにしてみましょう。
R:炎症が強い時期に、グイグイと大きく動かしすぎると、
関節包や腱板にさらに刺激が入り、痛みセンサーが余計に敏感になってしまうことがあります。
E:
例えば、入浴後など少し温まったタイミングで、
「痛みが出ない〜出ても軽いところまで」の小さな範囲で、
ゆっくり前後にゆらす・テーブルの上を滑らせるように動かす、などの優しい動きにとどめてみてください。
P:それだけでも、からだが「ここまでなら安心して動かしていいんだ」と学習し、
少しずつ固さがほどけていきます。
工夫②:首・肩甲骨まわりは「ほどよくほぐす」に方向転換
P:首〜肩甲骨まわりは、“気持ちいい範囲”で動かしたりほぐしたりしていきましょう。
R:四十肩・五十肩があると、つい痛い側の肩をかばい、
反対の肩までガチガチになってしまうことが多いです。
肩甲骨が動きにくいと、ますます肩関節に負担が集中します。
E:
・椅子に座って、ゆっくりと肩をすくめてストンと落とす
・肩甲骨を「前・上・後ろ・下」と円を描くように小さく回す
など、“気持ちいい・ほっとする”範囲での運動を、
テレビを見ながら数回だけ取り入れてみてください。
P:それだけでも、肩関節にかかる負担が分散され、
「関節そのものの痛み」が少し軽く感じられることがあります。
工夫③:痛みが続くときは、「早めに相談する」を選択肢に
P:3ヶ月以上続く痛みや、夜も眠れないほどの肩の痛みがある場合は、
「様子見」ではなく、一度専門家に相談してみましょう。
R:原因をきちんと見立ててもらうことで、
「これは炎症期だから無理をしない方がよい」
「今は固まり期だから、この範囲で動かしていこう」
といった“扱い方の方針”がハッキリします。
E:
例えば整体りびるどの施術では、
肩だけでなく、首・肩甲骨・胸郭・背骨・肋骨などの動きも確認しながら、
「どこがボトルネックになっているか」を一緒に整理していきます。
P:一人で悩み続けるよりも、「今の状態を言葉で整理してもらう」だけで、
気持ちもからだも少し楽になることが多いですよ。
5. まとめ:肩の“扱い方の基準”を少しだけ変えてみる
まとめると、
- 筋肉が張る・重いが中心なら「肩こり寄り」
- 特定の動き・角度で関節の奥がズキッと痛む/数ヶ月〜半年以上続くなら
「四十肩・五十肩寄り」
と考えるのが、ひとつの目安になります。
大事なのは、
「年齢のせいだから」とあきらめて放っておくのではなく、
- どの動きで
- どんな痛み方をして
- どれくらい続いているのか
を観察しながら、肩の“扱い方の基準”を少しずつアップデートしていくことです。
肩は、日常生活のあらゆる動きに関わる大事な関節です。
一緒に、「がんばって我慢する肩」から「からだがホッとできる肩」に
シフトしていきましょう。
その一歩として、今日から少しだけ、
ご自身の肩の「痛み方の違い」に目を向けてあげてみてくださいね。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

