Q.寝不足が続くと、肩こりや腰痛が悪化する?【深堀りQ&A】
Q.最近寝不足が続いていて、肩こりや腰の重だるさが悪化しています。
やっぱり睡眠と関係あるんでしょうか?
A.あります。
しかも「疲れが取れないから」というより、
“神経のバランスが整わないから” です。
目次
🔍寝不足は「身体が休めていない」だけではない
睡眠中、私たちの身体では「回復」だけでなく、
神経や感覚の“再調整”が行われています。
交感神経(活動モード)と副交感神経(回復モード)が切り替わり、
筋肉・内臓・血流・呼吸などのリズムが整う時間です。
つまり、寝不足が続くということは、
“整う時間”が足りない状態。
その結果、身体は常に「戦うモード(交感神経優位)」になり、
筋肉の緊張や血流の低下が続いてしまいます。
💡肩や腰に出る理由
とくに肩や腰は、「姿勢の支え」を担う部分。
交感神経が過剰に働くと、
無意識に姿勢を保つ筋肉(姿勢筋)が常に力を入れた状態になります。
・寝不足の翌朝、首や肩が重い
・腰が張っている感じがする
・呼吸が浅い
これらは、身体がリラックスできていないサインです。
本来なら寝ている間に「支えの力」と「脱力のバランス」が整うのですが、
寝不足の状態ではその再調整が行われず、
「力が抜けにくい身体」になってしまいます。
🧠睡眠と“感覚の再構築”の関係
最新の研究(Walker, Nature Reviews Neuroscience, 2021)では、
睡眠が「脳内の感覚マップをリセットする役割」を持つとされています。
身体をどう感じているか(ボディマップ)は、
日中の活動で少しずつズレていきます。
このズレを夜間にリセットできないと、
翌日の動作や姿勢がぎこちなくなり、
結果的に筋肉や関節への負担が増えるのです。
つまり寝不足は、
“感覚の再構築ができない状態”=身体のナビゲーションが狂った状態。
だからこそ、同じ動作でも「重い」「痛い」と感じやすくなります。
🌙「寝ても疲れが取れない」人は、神経が切り替わっていない
「寝たのにスッキリしない」
「朝から体が重い」
という人は、実際には眠りの“深さ”が足りていない場合が多いです。
副交感神経がうまく働かず、
回復モードに入りきれないまま朝を迎えてしまう。
そんなときは、まず 呼吸 を整えるのが効果的。
呼吸は唯一、自分で神経バランスを整えられる手段です。
- 朝起きたら背中に呼吸を入れるようにゆっくり3回
- 夜寝る前に、吐く息を少し長めにして呼吸を整える
これだけでも、“戻る力”が働きやすくなります。
📚理学療法の視点から
臨床的にも、慢性的な肩こりや腰痛の方の多くに
睡眠リズムの乱れが見られます。
特に、
・夜遅くまでスマホを見る
・入眠直前まで頭を使っている
・寝る前にカフェインを摂る
といった習慣は、交感神経を刺激してしまい、
回復モードへの切り替えを妨げます。
身体の疲れをとるには「寝る」だけでなく、
“安心して眠れる身体” をつくることが大切。
つまり、昼間の身体の使い方や呼吸の質も、夜の睡眠に影響しているんです。
🌿まとめ
寝不足が続くと、肩こりや腰痛が悪化するのは、
筋肉の問題ではなく、神経と感覚のバランスが整っていないから。
姿勢の支えが乱れ、力が抜けにくくなり、
身体は「守るために緊張し続ける」モードになります。
睡眠は「休む時間」ではなく、
“身体と感覚を整える時間”。
だからこそ、寝不足が続くと、
身体の“戻る力”がうまく働かなくなるのです。







