Q.腰を反ると痛い人と、曲げると痛い人の違いは?【深堀りQ&A】
Q.腰を反らすと痛い人と、曲げると痛い人がいますよね。
この違いって、どんなところからくるんでしょうか?
A.一言で言うと、**「どの組織が守ろうとしているかの違い」**です。
痛みの出方の差は、
単に“動かし方”ではなく、“身体がどこを防御しているか”のサインなんです。
目次
🔍「反ると痛い」と「曲げると痛い」──防御している組織が違う
腰を反ると痛い人
背骨の後ろ側(椎間関節や関節包、神経根周囲)に負担が集中しています。
このタイプは、
- 反り腰
- 骨盤が前に傾きやすい
- 背中を反らせて姿勢を保つ癖がある
といった特徴をもつことが多いです。
筋肉でいえば、腰部の多裂筋や脊柱起立筋が常に“縮こまって”いて、
過緊張により関節の遊び(joint play)が失われています。
その結果、反る動作の際に「もう動かせない」と身体がブレーキをかけて痛みを出すんです。
腰を曲げると痛い人
こちらは逆に、
背骨の前側(椎間板・椎体前方・靭帯)に負担がかかっています。
このタイプは、
- 猫背姿勢
- 骨盤が後ろに倒れている
- 座位時間が長く、腰が丸まるクセがある
といった特徴が多いです。
背部の筋肉が常に引き伸ばされたまま固定され、
「これ以上伸ばされると危険」と判断して防御反応を起こす。
これが、曲げ動作時の痛みにつながります。
💡つまり「硬い」から痛いのではなく、「守っている」から痛い
腰を反る/曲げると痛い人の共通点は、
身体が「特定方向の動きを危険と感じてブロックしている」こと。
これは悪いことではなく、防御反応=身体の安全装置です。
問題は、その“安全ライン”が実際よりも狭くなってしまっていること。
関節の可動性・感覚入力・呼吸・体幹の支えなどが乱れると、
脳が「ここまで動かすと危ない」と誤って判断し、
早い段階で痛みを出して動きを制限してしまいます。
🧩感覚を整えることで「安心して動ける腰」に戻す
理学療法的な視点では、
この“過敏になった防御反応”を和らげることが腰痛改善のカギになります。
① 反ると痛い人に大切なこと
→ お腹側(腹圧)の支えを取り戻す
腹横筋や骨盤底筋など、体幹の内側から支える力を再教育すると、
腰の筋肉が過緊張せず、自然に反れるようになります。
② 曲げると痛い人に大切なこと
→ 背中側(背骨の伸張感)を取り戻す
胸郭や骨盤の動きを整え、背部筋の“引き伸ばされ感”をリセット。
背骨全体でしなやかに動けるようになると、曲げ動作時の防御反応が減ります。
📚研究から見た「動きと痛みの関係」
2021年の報告(Moseley et al., Pain Reports)では、
「痛みは組織損傷ではなく、脳が“危険”と判断したときに生じる」
という神経予測理論が示されています。
また、2019年の研究(Hodges et al., Spine Journal)では、
腰痛患者では体幹深層筋のタイミングと感覚入力が乱れていることが確認されており、
動きの再教育によって痛みの再発が減少したと報告されています。
つまり、腰痛を改善するには“筋肉を伸ばす”のではなく、
**「安全に動ける感覚を取り戻す」**ことが最も重要なんです。
🌿まとめ
腰を反ると痛い人も、曲げると痛い人も、
原因は“動かしすぎ”ではなく“守りすぎ”。
痛みは、身体が「もう危ない」と感じてブレーキをかけているサイン。
だからこそ、必要なのは“力づくのストレッチ”ではなく、
安心して動ける範囲を少しずつ広げていくこと。
整えるとは、「痛みをなくす」ことではなく、
“身体が自分を信じられる感覚”を取り戻すこと。
そこから、自然な動きと自由な腰が戻ってきます。
腰痛でお悩みの方は是非、松本市岡田の整体りびるどにご相談下さい。







