Q.膝を動かすとポキポキ音が鳴るのは大丈夫?【深堀りQ&A】
A.ほとんどの場合は問題ありません。
膝の音は「関節がこすれている」わけではなく、
関節液の気泡がはじける音や、靭帯・筋膜が瞬間的に滑る音がほとんどです。
ただし、痛みや腫れを伴う場合は、組織の滑りや感覚のバランスが崩れているサインのこともあります。
🔍膝の音=“摩耗”ではなく“滑りのズレ”
「軟骨がすり減ってるのでは?」と不安になる方も多いですが、
音そのものは摩耗や損傷の証拠ではありません。
膝の関節は、大腿骨・脛骨・膝蓋骨の3つの骨が組み合わさった複雑な構造。
その間を満たしている関節液にはガス(主に二酸化炭素)が溶け込んでおり、
動かすたびに圧力変化で小さな気泡が「パチン」と弾けることがあります。
これがいわゆる“ポキッ”という音の正体のひとつです。
一方で、もう一つの原因は筋膜や靭帯の滑走(すべり)の瞬間的なリリース音。
特に太ももの外側(腸脛靭帯)や膝蓋骨周囲の筋膜が硬くなっていると、
動作のたびに“引っかかってパチッと外れる”ような動きをします。
2022年の研究(Kang et al., Clinical Orthopaedics & Related Research)でも、
健常者の膝音の大半は「関節液の気泡」と「筋膜滑走の瞬間的移動」によるものと報告されています。
💡音が鳴る“膝”と“鳴らない膝”の違い
音が鳴りやすい人は、関節が不安定だからではなく、
関節や筋膜の動きが“スムーズでない”ことが多いです。
たとえば──
- 長時間座ることが多く、太もも前の筋肉が張っている
- 膝を曲げるときに股関節や足首が一緒に動かない
- 運動後や立ち上がり時に“膝だけ”で体重を受けている
こうした状態では、関節の中や筋膜がうまく滑らず、
結果的に小さな「音」が出やすくなるのです。
つまり、音自体が悪いのではなく、**“鳴りやすい使い方”**になっているということ。
🧩放っておいていい音と、注意が必要な音
放置してよいのは以下のようなケース👇
✅ 痛みや腫れがない
✅ 音が出ても可動域がスムーズ
✅ 運動後に違和感が残らない
一方で注意が必要なのは👇
⚠️ 音と同時に痛みや違和感がある
⚠️ 動作のたびに引っかかる・膝が抜ける感覚がある
⚠️ 階段やしゃがみ動作でガクッとする
このような場合、膝自体ではなく、股関節や足首の連動性が失われていることが多いです。
膝は「真ん中の関節」なので、上(股関節)や下(足首)の動きが硬いと、
その“補償動作”として膝にストレスが集中してしまいます。
💡音を減らすためにできること
・膝を曲げ伸ばしする前に、足首と股関節を軽く動かす
→ 連動性を回復し、関節に余裕を作る。
・太ももの前を伸ばすストレッチより、太もも外側(腸脛靭帯)をやさしく撫でる
→ 摩擦ではなく、感覚を整えることで滑走を促す。
・呼吸を深くして骨盤の動きを感じる
→ 骨盤・股関節の安定が膝のスムーズな動きを支える。
いずれも「伸ばす」「押す」ではなく、**“感じながら動く”**意識が大切です。
筋肉を力で変えるよりも、神経に「動いていいよ」と教えるほうが早く変わります。
🧠まとめ
膝の「ポキポキ音」は、壊れている音ではなく動きの切り替え音。
痛みがなければ、心配する必要はありません。
ただし、動かし方や感覚のクセによっては、音が“身体の使い方の偏り”を教えてくれているサイン。
焦らず、足首・股関節・骨盤を含めた“全体の滑らかさ”を整えていきましょう。
身体は、音を出しながらでも少しずつ整っていきます。
膝のポキポキ音はともかく、違和感や痛みがあって心配、ということであれば、松本市岡田の整体りびるどにお気軽にご相談ください。







