Q.ぎっくり腰って、急に起こるものなの？【深堀りQ&A】
A．実は「突然」ではなく、“ゆっくり溜まっていた負担”が限界を迎えた結果です。
重いものを持ったり、朝起き上がるときに「グキッ」と痛みが走ると、
「何の前ぶれもなく起きた」と感じるかもしれません。
しかし実際には、その前から筋肉や関節、神経が小さなストレスを抱え続けていたのです。
ぎっくり腰は“突発的な事故”ではなく、身体の耐久バランスが崩れたサインと言えます。
目次
🔍ぎっくり腰は“突然”ではなく“積み重ねの結果”
ぎっくり腰（急性腰痛症）は、腰の筋肉や靭帯、筋膜、関節などが限界まで働き続けた結果、
ある瞬間に“もう支えられない”と脳がブレーキをかけた状態です。
たとえば──
- 長時間の座位で骨盤が後ろに倒れ、腰椎が丸まる
- 呼吸が浅くなり、腹圧（体幹の内側の圧力）が下がる
- 股関節や胸郭の動きが硬くなり、腰に代償動作が集中する
- 睡眠不足やストレスで筋肉の緊張が高い状態が続く
こうした“静かな負担”が少しずつ蓄積し、
最後のくしゃみや前かがみ動作といった小さな刺激で痛みが爆発するのです。
2020年の研究（Waddell et al., Spine Journal）でも、
急性腰痛患者の多くに**「腰部筋膜の滑走制限」や「感覚入力の偏り」**がみられると報告されています。
つまり、構造的損傷ではなく、**感覚と神経の誤作動（sensitization）**が主な要因なのです。
💡痛みで“動けなくなる”のは壊れているからではない
痛みが強いと、「骨がズレた」「筋肉が切れた」と不安になる人も多いでしょう。
けれど実際には、身体を守るための神経反射によって動けなくなっていることが大半です。
脳は「これ以上動いたら危険」と判断すると、
周囲の筋肉を一気に硬直させて“防御反応”を起こします。
この反応は筋緊張性防御と呼ばれ、構造的な破損ではなく神経の安全装置なのです。
だからこそ、「痛い＝壊れた」と決めつける必要はありません。
過剰な安静はかえって回復を遅らせる場合もあります。
痛みが落ち着いたら、小さく・ゆっくり・呼吸を伴った動きから再開することが重要です。
🧩“再発を防ぐ”ための視点：構造 × 感覚 × 神経
ぎっくり腰は、一度起こすと再発しやすい症状です。
再発を防ぐには、単に「腹筋を鍛える」「姿勢を正す」では不十分。
身体の感覚と神経の働きを整えることが鍵になります。
・構造の再教育：
腰だけでなく、股関節・胸椎・肩甲骨などの「連動性」を高める。
動きが局所に集中しないことで、再発リスクを減らせます。
・感覚の再入力：
痛みが落ち着いたら、骨盤を前後にゆっくり動かす。
「支え方を感じる」ことが回復の第一歩です。
・神経のリラックス：
深い呼吸で腹圧を整える。
横隔膜と骨盤底筋が連動し、腰部の安定性が戻ります。
2022年の報告（Zadro et al., BMJ Open）でも、
「早期の軽い運動＋呼吸エクササイズ」が再発予防と回復促進に有効とされています。
💡セルフケアのポイント
・朝起きる前に膝を立てて骨盤を前後に小さく動かす
→ 腰椎と骨盤の協調性を取り戻す動き。
・立ったまま深呼吸し、息を吐きながら肩の力を抜く
→ 腹圧を整え、神経の過敏状態をリセット。
・1時間ごとに立ち上がって2〜3歩歩く
→ 血流と感覚入力を保ち、“再び固まる”のを防ぐ。
いずれも「動くこと」より「感じること」を意識しましょう。
“どこを動かしているか”を感じられる動きが、脳に安全な感覚を再教育します。
🧠まとめ
ぎっくり腰は、突然のトラブルではなく身体のバランスが限界に達した結果。
痛みは壊れたサインではなく、「今の使い方を見直して」という身体のメッセージです。
焦らず、呼吸と小さな動きから“支える感覚”を取り戻す。
それが、再発しない身体づくりへの第一歩です。
とはいえ、理屈は分かっても自分だけでは十分なケアができない、少しでも早く痛みを何とかしてほしい、という方もいらっしゃると思います。
そんな時は、松本市岡田の整体りびるどにお気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
